「 タダより高いものはない 」という言葉をこれ以上ないくらい痛感させられる、姫たちのリアル・ファイト・ファンタジー。
清々しいまでの勧善懲悪&2時間弱ですっきり片付くバトルものです。
ダムゼル / 運命を拓きし者

あらすじ
貧しい北国の王女・エロディのもとに、アウレア国の王子から結婚の申し込みが届いた。豊かなアウレア国は、エロディを迎え入れる代わりに彼女の国を援助するというが、本当の目的はドラゴンへの生贄として彼女を利用することだった。生贄にされた彼女は、この絶望的な状況から逃れるべく、命懸けで大きな試練に立ち向かう。
原題
Damsel
公開日
2024年3月8日
上映時間
109分
予告編
キャスト
- ファン・カルロス・フレスナディージョ(監督)
- ミリー・ボビー・ブラウン
- レイ・ウィンストン
- ロビン・ライト
- アンジェラ・バセット
- ニック・ロビンソン
- ショーレ・アグダシュルー
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー

冒頭から3D感溢れる空撮でアウレア王国を一気に映し出す映像がすごい迫力。
途中で、これはかつて王国を自由に飛び回っていたドラゴンの目線だと気付いて切なくなった。
3匹の子を殺されたドラゴンと何人もの姫たちの悲しみの上に成り立つ美しい国の真実。
冒頭の空撮の迫力と物語のほとんどが暗い洞窟内で展開される点からみて、これは劇場で観てこそ100%楽しめる映画だと感じた。
昔のディズニープリンセス映画を思い起こさせる単純なストーリーなのだけど、子どもが観るには怖すぎるしグロすぎるから、一体どの年齢層をターゲットにしているのだろう、中学生くらい?
個人的に嫁にいくエロディより妹のフロリアの方が姫らしく可愛らしさ満点なのだが、洞窟で極寒の地で鍛えたサバイバル能力を遺憾なく発揮し、短剣一本でクライミングまでやってのけちゃうエロディを観て納得。
美しいけれど骨太な顔つきも相まってサンドラ・ブロックやアンジーの後継者かと思ったわ。
それに対する一瞬の夫、ヘンリー王子の「 3人捧げたら(殺したら)自由に結婚できるんだ! 」って…どうして超絶体験をしてきたエロディをその台詞で説得できると思った?
説得力のなさハンパない。
しかも中途半端に良心グラつかせるなら最初からやるなよっていう。
こういう暗部を見て見ぬフリする男性を夫にしたら後々大変だわ。
ドラゴンの子を失った癒えぬ悲しみがヒシヒシと伝わってきたので、エロディが対話で説得するとか、もう少しきちんと彼女と向き合う時間があれば情緒面がプラスされたのでは?ともったいなく感じた。
「 運命を拓きし者 」という副題が大げさなせいで、エロディが洞窟を脱出し和解後、一致団結して両国を救うみたいなストーリーを予想していた。
しかし一致団結したのはこれまで犠牲になった姫たちで、手を組んだのは悲しみを理解しあった彼女だったのは意外性があってよかった。
ただ、犠牲になった姫たちは自分の命が晒されている状況下でも次にくる生贄姫が犠牲にならないようにと必死の行動ができるものなのか。
育ちがよくて心が綺麗って最強ってことが証明された感じ。
「 タダより高いものはない 」という痛い経験を経て、自国を立て直すための戦利品はちゃっかり連れて帰る有能な姫君たちのブレイブストーリーだ。