文・ライター:@キングギドラ
幽霊男(1954)

東宝が誇る人気怪獣・ゴジラの第一作目が公開された年に、名探偵・金田一耕助は既にスクリーンに登場していました。
ゴジラと並び、後に東宝の人気シリーズとなる金田一耕助シリーズの前衛がこの「 幽霊男 」
スーツにハットというジェームズ・ボンド風の金田一は、当時ならではのスタイルです。
主要な登場人物&キャスト
- 小田基義(監督)
- 河津清三郎(主人公:金田一耕助)
- 清水元(警部:等々力大志)
- 田中春男(猟奇クラブの幹部:菊地陽介)
- 岡譲司(猟奇クラブの大御所:加納三作)
- 山本康(画家:津村一彦)
- 藤木悠(記者:建部健三)
- 三條美紀(銀座服飾店のあるじ:三橋絹子)
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
本作の原作「 幽霊男 」は、数ある金田一シリーズの1つで、推理作家・横溝正史によって執筆された作品です。
1911年に創刊した講談社の文学雑誌「 講談倶楽部 」で1954年の1月から10月に渡って連載されました。
そして実写版として本作が公開されたのは同年の10月です。
つまり「 幽霊男 」は当時のトレンドの的であった事が伺えます。
その1か月後には「 ゴジラ 」がヒットしたことで、東宝は特撮を駆使したSF映画「 透明人間 」を公開します。
この「 透明人間 」の監督は小田基義、主演は河津清三郎であり、「 幽霊男 」と同じです。
どちらも怪奇ミステリーのジャンルではありますが、「 幽霊男 」を始め金田一シリーズに登場する祟りや幽霊といった超常的な事象は、全て人間による策略として描かれます。
この点が「 ゴジラ 」や「 透明人間 」と違いますが、モノクロ映像と当時の技術で再現された幽霊男の風貌がなんとも不気味で、怪獣や怪人に劣らない強烈な印象を与えています。
ストーリーについても、幽霊男が殺人現場に残した「 次の犯行予告 」の謎を金田一が解いていくというものであり、2022年に公開された探偵ヒーロー映画「 ザ・バットマン 」を彷彿とさせられます。
主演の河津清三郎も今となっては珍しくなった、スーツ姿のクールな金田一を演じており、怪奇な幽霊男と対照的な存在になっています。
この点も「 ザ・バットマン 」に登場する物静かな名探偵・バットマンと謎解き怪人・リドラーの対決と似た要素です。
「 幽霊男 」は、昨今のヒーロー映画やあらゆる娯楽作品の雛形とも思われる、サスペンス・スリラー作品としての面白さがあります。
トリビア
話の流れや設定は原作を忠実に再現しているが、改変点が多く見られる。
例えば、監禁され縛り上げられていると思われていた猟奇クラブの加納三作が実は人形だった、という展開は削除されている。
