今回は、ペンネーム@ジョナさんからの投稿レビューです。
映画ライフ楽しんでますか?
2006年2月24日の夜、24歳の少女が銃殺されます。
なぜ?
誰が?
遺族が犯人を捜すために、とった手段とは?
Netflixによる犯罪実話ドキュメンタリー。
この記事では、今作の魅力と、オススメの犯罪ドキュメンタリーについて書いてみます。
なぜ殺したの?
公開日
2021年4月14日
原題
Why Did You Kill Me?
上映時間
83分
キャスト
フレデリック・ムンク(監督)
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
感想レビュー
好きだった点
当事者たちのインタビューと事件の検証で成り立っている点。
娘を失った遺族である母親が、心の傷の癒されていない印象の父親とは対照的に、何となく生き生きしているのには違和感があります。
その理由については、後述します。
遺族たちは警官を頼りにせずに、SNSを頼りにして犯人捜しを始めます。
行方不明の娘を巡って、PCモニターだけで展開する「 search / サーチ(2018年)」が思い浮かびますが、SNSの出始めである時期であることを考えれば、今作(というよりも主人公たちの行動)が初代とも言えそうです。
今作ではマイスペースという、当時10代の利用者数が6600万人を超えるサービスが登場しますが、日本ではmixiやGREEが流行りましたね。
嫌いだった点
製作者や登場人物たちに主眼が置かれ、観る人をあまり意識していない点。
ジオラマを作成し、車や人型の模型で事件を再現するのですが、雰囲気や意気込みは感じられるものの、観る側としては、分かりにくかったです。
犯人がギャングのメンバーであることを確信した母ベリンダが、クリスタルのいとこ(14歳)にマイスペースで、クリスタル本人になりすまして、ギャングたちを「 釣る 」よう依頼します。
話題作のSNSドキュメンタリー「 SNS 少女たちの10日間(2021年)」では、12歳になりすました少女3人が、十日間で2500人もの男性たちにコンタクトされる現実を浮き彫りにしましたが、やはり今作でも、偽クリスタルに犯人一味を含んだギャングたちが、次々とコンタクトを持ちかけてきます。
正直、不快感を隠し切れませんでしたが、それを少女に強要するベリンダにも、違和を感じます。
見どころ
ヤク中で元売人でもある、母ベリンダの暴走ぶりが凄いです。
クリスタルの「 ドラッグはやめて 」という忠告に耳を傾けていたら、このような悲しい事件に繋がらなかった可能性はあります。
いとこがSNSでの誘導作戦をリタイアしたため、ベリンダが暴走気味に、犯人たちに過激なメッセージや脅迫を始め、終いには架空のパーティーへと招待。
その現場で、犯人たちを銃で皆殺しにする計画を立てます。
その前夜、クリスタルになりすました母が、犯人に「 なぜ私を殺したの?(Why did you kill me?)」とメッセージを送るのですが、このシーンが最大のクライマックスでしょうね。
考察レビュー
なぜ、母ベリンダが生き生きしているのか。ドラッグでハイになっているからなのか、あるいは、その後遺症でしょうか。
犯人たちを追い、彼らを襲撃し、復讐を果たすことを生きがいにしたからでしょうか。
遺族にしか分からない感情が、あるのでしょう。
今作の参考に、殺人事件をテーマにしたルポ「 43回の殺意(石井光太)」「 令和元年のテロリズム(磯部涼)」を続けて読みました。
共通しているのは、一つひとつの凶悪事件が、異常者による特殊なものなのではなく、当事者たちの住む国や社会のあり方と、強く関連しているという点です。
他人事としてではなく、社会の一員として、自分事として見つめることが大事ですね。
事件の背景には、アメリカ・リバーサイドのギャング事情があります。
スペインのギャング映画「 ライジング・スカイハイ(2021年)」が記憶に新しいですが、報復のために家屋を燃やしたり、勘違いで少女を撃ち殺す、という所業そのものよりも、まるでコンビニに買い物に行くような気軽さで行うという所に、恐ろしさを感じます。
まとめ
残念ながら、作品としては楽しめませんでした。
Netflixオリジナルの犯罪ドキュメンタリーでしたら、他に「 アメリカン・マーダー 一家殺害事件の実録(2020年)」を併せて観ることを、オススメします。
ともあれ、二度と同じような事件が起こらないために(毎日のように起こっているのですが)、作品を観て、現実を知るという点では、一見の価値ありです。