文・ライター:@小松糸
チェコの警察を動かした、SNS と子供の性暴力についてのドキュメンタリー映画。
SNS 少女たちの10日間
公開日
2021年4月23日
上映時間
104分
キャスト
- バーラ・ハルポバー( 監督 )
- テレザ・チェジュカー
- アネジュカ・ピタルトバー
- サビナ・ドロウハー
予告編
公式サイト
感想レビュー
好きだった点
約2分の予告でも最悪だったのに、104分もある本編はひたすらため息しか出なかった。
量産されるホラー映画よりよっぽど怖い。
R15の作品だけど、これは全小中学生に見てほしいし、SNS の怖さをこの映画を通して知ってほしいと思った。
嫌いだった点
嫌いだった点が、この映画の良さを引き立てる材料になっている。
ひたすらに気持ちが悪いドキュメンタリーだが、この作品はその気持ち悪さを伝えたい作品。
なんとも言えない、ぬるっとした恐怖がずっと漂っている映画だった。
見どころ
SNS は、上手く使えば無敵のツールだと思う。
実際に SNS を使ってお金を稼いでいる人も大勢いる。
しかし、悪く利用する方法もいくらでもある。今回のように、子供に対する性的搾取もその類だ。
この映画はオーディションの映像から始まる。本人も昔経験した、SNS での性暴力を告白
する映像だが、話を聞いてるだけでも既に気持ち悪い。
そしていざ 10 日間の密着が始まると、話していた以上の性暴力が彼女たちを襲う。観てい
て嫌悪感とため息しかこみ上げてこなかった。
この映画を作るにあたって、弁護士やカウンセラーによるアフターケアもしっかりとされ
ているが、実際の12歳の少女がこのような事件に巻き込まれた場合、親にも先生にも話せ
ず抱え込んでしまうケースも多くある。
「 裸の写真を SNS にバラまくぞ 」と脅されてしまうと、どうしたらいいのかわからず自ら命を断ってしまう子供も少なくない。本当に悲しい。
大人は子供を守るべきだと強く思う。
このような性暴力をする大人は論外として、子供がこのような事件に巻き込まれないよう注意すること。
被害を受けた子供をケアしてあげること、これが本来の大人の役割だ。
実際にメッセージを送っていた成人男性に、カメラを持った制作陣とキャストが突撃するシーン。
明らかに悪いのはその男なのに、あれこれ文句を言った挙げ句、極めつけに「 そんな教育をする親が悪い! 」と逆ギレ。
本当に悲しくなった。
もしも自分がこの事件に巻き込まれていたら。誰にも相談できず、そんな SNS の利用の仕方をしたわたしが悪いんだ、と自分を責めていただろうと思う。
利用方法はしっかりと考えるとして、やはり全てわかりきっているのに、無知の子供を悪趣味な性暴力に巻き込む大人が1番いけない。
日本でも同じような作品を作ったらとんでもないことになりそうと終始思った。
子供を相手にする仕事をしている男性が、12歳の少女に向かって「裸を見せてほしい」と言うのはいかがなものか。普通に考えれば逮捕されてもおかしくない。
そんな人に自分の子供を預けたいとは到底思えない。
なぜ警察が介入できないのか疑問は残るが、SNS で蔓延る性暴力は、言ってしまえば沼底のようなもので。
バレないように、跡が残らないような手段を使って行われてきた。これからはどんどん暴い
ていってほしい。
まとめ
SNS の利用方法について、家族でも学校でも、いま一度しっかりと話し合うべきだと強く思った。