公開から瞬く間に話題となり、Netflixの国内ランキングでは1位を獲得。
公開から1ヶ月近く経とうとしている現在も3位と上位に食い込み続けている。
さらに、相撲という日本の国技の斬新な描き方が目新しいのか、海外での評価も高く、50以上の国と地域で「 今日のシリーズTOP10 」入りを果たしている。
主演の一ノ瀬ワタルは、最近だと藤井道人監督の映画「 ヴィレッジ 」、ドラマ「 インフォーマ 」にも出演したことが記憶に新しく、
どちらもなかなかに凶悪で、切なさを抱えた男を見事に演じられていたのが印象的だった。
相撲という題材にピンとこず、視聴を後回しにしていた筆者であるが、いい機会を頂戴したのでしかと拝見させていただいた。
もし同じようにサンクチュアリ後回し勢だという人がいたら、これを読んだ後でも読む前でもいいから、騙されたと思って1話だけ見てほしい。
サンクチュアリ‐聖域‐(第1話)

第1話 – あらすじ
福岡での荒れた生活から抜け出すため、青年は相撲で大金を稼げると誘われ、故郷を離れて相撲部屋に入門する。だが、彼の反抗的な態度は変わらず、周囲からは認められず、相撲に対して真剣に向き合えずにいた。
公開日
2023年5月4日
上映時間
60分
キャスト
- 一ノ瀬ワタル
- ピエール瀧
- 染谷将太
- 小雪
公式サイト
予告編
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
サンクチュアリ‐聖域‐第1話の見どころ

正直なところ舐めていた。
このドラマ、めちゃめちゃすごいぞ。
荒々しく乱暴な稽古のシーンは、それだけで好きな人には刺さりまくるに違いない。
くすりと笑える多少のコミカルな演出はあるものの、舞台のメインとなる猿将部屋が古めかしい相撲部屋ということもあってか、その空気感はほとんど任侠映画のよう。
聖域という割りに、何かあればすぐに「 殺すぞ 」と威嚇し合うヤクザの事務所のような相撲部屋の雰囲気は、猿将親方を演じているのがピエール瀧だからというだけではないだろう。
元・格闘家であるという主演の一ノ瀬ワタルの演技もさることながら、ピエール瀧、小雪、染谷将太と脇を固める俳優陣も盤石で、物語により厚みを持たせることに一役も二役も買っていることはいうまでもない。
少し内気で、相撲に真摯に打ち込んでいる清水(染谷将太)は、基本コミカルな演技が光っていたが、部屋から脱走しようとした小瀬(のちの猿桜/一ノ瀬ワタル)を引き留めるシーンにはスポコンらしい爽やかな熱があった。
(そのあと、自分はちゃっかりと脱走していった清水の背中は忘れない。暑苦しいだけじゃない笑いが随所に散りばめられているのも、本作の魅力の1つだ。)
1話は序章的な意味合いもあり、小瀬が相撲の世界に飛び込むまでの背景も描かれている。
脚が悪く甲斐性なしの父親と、借金まみれで娼婦同然の母親。
小瀬は「 目標800万 」と書かれた通帳を後生大事に持っているが、チンピラから巻き上げたお金はまだ五桁にも届かない。
どうして800万なんだろうか――と、とてつもなく不器用な父子の別れのシーンを見てしまうと、その数字にも何か意味があるのではと勘繰りたくもなってくる。
父親が餞別として渡したしわしわの5000円札を、小瀬が決して使わず大切に持っていたことが分かるシーンには、平常時の粗暴さと相撲を舐め切った悪童っぷりとのギャップに思わず胸が熱くなった人も少なくないだろう。
こんな感じで相撲とドラマにただただ熱い本作だが、ただのスポコン、ヤンキーが更生していくサクセスストーリーというだけで終わらないのも面白い。
ほとんどイジメのような先輩力士によるしごき、女性蔑視的とも言える男性中心の土俵社会、おまけに何やら師匠会の暗い思惑も錯綜していくような展開も予感させる。
先の読めない重層的な開幕に、胸躍るばかりである。
相撲スゴイ。
一ノ瀬ワタルもスゴイ。
サンクチュアリ‐聖域‐もスゴイ。
冒頭で正直舐めていたと書いたが、今書きながら筆者は猛省しているところだ。
まとめ
個人的に、とくに印象深かったのは、「 女は土俵に近づくな 」と差別されたことに憤る国嶋(忽那汐里)を猿将部屋の外で上司の時津(田口トモロヲ)がなだめるシーンだ。
一般社会の常識から大きくズレた角界の「普通」を異常だと罵る国嶋に、時津が言った台詞がある。
「 異常の上に成り立つ異世界、それが角界なんだ 」
尾瀬は、今はまだただの問題児。
そんな剥き出しの熱い青さを秘める男が、その異常の先で一体どんな景色を見ることになるのか。
たった60分で、もう目が離せなくなった。

