新3部作を継承した新たなる時代、新たなる支配と認知の物語。
非常に面白い。
コロナ禍自粛によるストレス開放なのか、邦洋問わず、短絡的なエンタメか深刻なエンタメの2極化に思えた映画界に正当な考察示唆を感じられた。
人類が人類として向き合うべき進化と発展の善悪を思考したくなる。
→ 猿の惑星シリーズ
「 猿の惑星 / キングダム 」
あらすじ
映画史に残る神話的名作シリーズ『猿の惑星』完全新作! 今から300年後の世界、猿たちは絶対的支配を目論み、巨大な帝国<キングダム>を築こうとしていた。一方、人類は退化し、まるで野生動物のような存在となっていた。 そんな世界で生きる若き猿ノアは、ある人間の女性と出会う。 彼女は人間の中で“誰よりも賢い”とされ、猿たちから狙われていた。 猿と人間の共存は不可能なのか。はたして、この世界で生き残るのは―。 完全新作として描かれる新たな“猿の惑星”。 ノアが出会った人間の女性に隠された秘密とは何なのか。 進化は本当に“彼ら”を選んだのか。この惑星に隠された驚くべき真実とは―!
公式サイトより
原題
Kingdom of the Planet of the Apes
公開日
2024年5月10日
上映時間
145分
予告編
キャスト
- ウェス・ボール(監督)
- オーウェン・ティーグ
- フレイヤ・アーラン
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
本作は猿の惑星シリーズの第10作目。
フランスのピエール・ブールが1963年に発表した小説「 猿の惑星 La Planète des singes 」を1968年にハリウッドで20世紀FOXが映画化し衝撃のラストシーンが世界を震撼させた。
その後、多少の無理はあるものの1973年までに5作品が1つの物語として製作された。
2001年にティム・バートン版。
2011年から2017年にシーザーを主軸エイプとしてリブート(創生)され、知能を持ったエイプが人間に育てられ離脱、エイプと人類の闘争が勃発。
新たなウィルスによる人類の衰退とエイプの発展。
地上の新たな支配者として、シーザーはエイプと人類に対しての道筋を作り上げた。
前3部作を僕は名作だと認定している。
その3部作を継承し、300年後の世界として新たなる社会考察を示唆しているのが本作である。
詳細についてはネタバレ必須になる為、真意は劇場鑑賞に挑んで欲しい。
エイプの進化は人類が猿人(アウストラロピテクス)→ 原人(ホモ・エレクトス)→ 旧人(ホ モ・ネアンデルターレンシス)→ 新人(ホモ・サピエンス / クロマニョン)に変化・進化していく縮図に感じる。
強いて言えば、肉体的な変化は遅く、ウィルスによって脳発展が加速度的に進んだ類人猿ってことになる。
しかし、血族 → 部族 → 村 → 統合 → 国と「 支配 」と「 被支配 」という安寧に執着する。
その支配権拡大を求めて、強大な武力と虚言を操る様になる。
その様は、現代為政者とエイプと見た目以外の差異はあるのだろうか?
いや、ない。
為政者の権力闘争と支配は猿山の支配闘争と酷似しているではないか。
そして…知を維持してる人類は、進化を求めず既存と維持のみに邁進し続けるのか?
まとめ
類人猿バトルが重なった。
「 ゴジラ × コング 新たなる帝国 」
「 猿の惑星 / キングダム 」
主人公に敵対するエイプに毛の剥げたエイプが目立つ。
そして、両作共に敵対首領のエイプがボノボとしているのも興味深い。
チンパンジーでもオランウータンでもゴリラでもなくボノボ。
それは遺伝子構造がヒトに最も近しいエイプであると言うこと。
結局、映画の想像の世界でもヒトはエイプに脅威を感じ、ヒトに類似する生命を虐げたいのだろうか?
それは神に似せて創造されたヒトに嫉妬した天使が、楽園を失う伝承と変らないと言う警鐘ではないだろうか。
文・ライター:LEDMAXI