文・ライター:ジョナサン
中1でイエスタデイを聴いて以来、ビートルズを聴き続ける生活を25年以上続けているので、
ビートルズサウンドを継承した「 オアシス 」に出逢ったのは必然だったのかもしれません。
大学の寮生活時代、90年代で最も売れたブリットポップでもある「 ワンダーウォール 」を
三日三晩リピートしっ放しにして周囲を呆れさせ、1ヶ月のイギリス短期留学ではオアシスTシャツを着て、
現地でアルバムを買いビートルズとオアシスの聖地巡礼をしたものでした。
そのオアシスのフロントマンであるリアム・ギャラガーの、
オアシス解散から復活までを描くドキュメンタリーなのですから、
見逃すという選択肢はありませんね(笑)
リアム・ギャラガー アズ・イット・ワズ

公開日
2020年9月25日
原題
LIAM GALLAGHER AS IT WAS
上映時間
85分
キャスト
- チャーリー・ライトニング(監督)
- ギャヴィン・フィッツジェラルド(監督)
- リアム・ギャラガー
- ポール・ギャラガー
- ペギー・ギャラガー
- デビー・グワイサー
感想レビュー

好きだった点
音楽ドキュメンタリーにありがちなPVの延長線や、ライブ映像の引き伸ばしのような展開が全くなく、
むしろ、リアム・ギャラガー本人のパーソナルな姿をしっかりと取材している点に感心しました。
リアム自身が自分の弱さを見つめ、一歩一歩進んでいく様を見ながら、(いい意味で)丸くなったなあと感じ入りました。
ファッキンを連発する口の悪さは、健在でしたが(笑)
10代の若いファンの一人ひとりにサインをし、声をかけ、時にチケットまで手配するシーンや、
マンチェスターのテロ事件直後に、人たちを励ますために熱唱する姿には涙が出るほど胸を打たれました。
嫌いだった点
今回ミニシアターに足を運んだのですが、案内された会場がまさかの音楽ホールでした。
しかも自分自身、楽団演奏会で使用したことがあります。
しかも、観客席数600。
広々とした客席を見渡すと観客数がたったの6人。
考えようによっては、ものすごく贅沢なライブ会場ですよね。
しかし、音楽シーンが少なすぎてサウンドを浴びることは叶わず、やや不完全燃焼。
それだけでなく、オアシスの楽曲は兄のノエル・ギャラガーが許諾しなかったため、一切流れませんでした。
これが一つです。(解散後に制作された「 オアシス:スーパーソニック 」(2016)は楽曲満載でした)
もう一つは、劇中終始ノエル・ギャラガーが不在だった点。
登場しても、過去の映像や音声のみでした。
リアムの苦悩だけでなく、ノエル側の視点が加われば、構成にも厚みが加わったのに、と残念に思いました。
リアムは、「 奴(ノエル)は変わったと皆が言う。どうせ、ひでえクソ野郎だ。俺もクソだが、ヒドくはない 」
とラブコール(?)を送っていますが、ノエルの返答も聞いてみたかったですね。
見どころ
カメラを惹き付けるリアムのキャラクター性と、オーラ(魅力)。
離婚騒動やマスコミに追い回されたり、新生バンドが空中分解したり、挫折と逆境の10年間を経て、
音楽作りと自身の歌を取り戻す過程は、どん底を味わった人たちへの力強いエールとなり、
希望への道筋を照らしてくれることでしょう。
考察・疑問点

さて、オアシスの再結成はあり得るのでしょうか?
そのためには、兄ノエルとの和解が必須課題となります。
母のペギーは、お互いが生きているうちに仲直りすることを望んでいました。
兄は「 ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ 」として活動を続けていますし、
リアムはオアシスの幻影を振り払い、ソロ活動に自身の進む道を見出しました。
2人は解散以来、10年間、一度も顔を合わせていません。
なんてファッキン頑固な兄弟でしょう。
リアムは作中、ノエルとばったり遭遇したらどうする?との問いに、こう答えています。
「 ツルハシを持って追いかけるか、抱きしめてキスするかだな 」
彼らの物語にエンドクレジットには、まだ早いですね。
これからも新しい伝説を生み出してくれることを願っています。
まとめ

今朝は1年ぶりにランニングをしました。
酒とドラッグとケンカに明け暮れていた、あの問題児だったリアム。
今では早朝、橋から朝日の輝く景色を見るために走っているというシーンに、啓示を受けたからなのかもしれません。
iPodで聴くBGMが「 リアム・ギャラガー 」だったのは、言うまでもありません。