「 LE CHOCOLAT DE H 」感想レビュー、辻口博啓の軌跡と多彩な生き様に迫る

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文・ライター:UK

一流のパティシエが集い、数多くの有名なパティスリーがひしめくスイーツの聖地、フランス・パリ。

そんなパリで毎年開催される伝統あるショコラの祭典で、日本人として唯一8回連続で最高評価を獲得した辻口博啓。

本作は、そんな彼に数年前密着して公開された貴重なドキュメンタリーだ。

劇中ではショコラティエとして紹介されているが、パティシエでもあり、

自身が展開する多くのブランドを統括し、製菓専門学校の学長や(一社)日本スイーツ協会の代表理事も務める。

また、群馬製粉とは世界に先駆けて洋菓子専用の米粉リ・ファリーヌを共同開発したりと、

多岐に渡って第一線でプロフェッショナルとして順風満帆に華々しく活躍する辻口だが、

そんな彼の、これまで歩んできた過去の軌跡を振り返りつつその仕事ぶりと生き様に迫る。

目次

LE CHOCOLAT DE H

©LE CHOCOLAT DE H

あらすじ

みんなに笑顔と幸せをもたらす、チョコレート。その一粒の向こう側には、私たちの想像を遥かに超える奥深い人間の営みがあります。

本作の主人公はパティシエとして世界一の称号を手にした辻口博啓。彼が今情熱を傾けているのはチョコレート。彼はフランス・パリで開催される世界最大のチョコレートの祭典『サロン・デュ・ショコラ』の品評会において5年連続で最高評価の『ゴールドタブレット』を受賞、昨年は『外国人部門最優秀賞』の栄冠にも輝きました。それでもなお辻口は2018年の品評会にも出品。そこには「挑戦者であり続けることが、後に続く若者たちのステージを切り開くことになる」という、ひたむきな信念がありました。

そんな彼が今、目指しているのは、“日本の食文化<発酵>×世界のカカオの<発酵>のマリアージュ”――。カカオという果実が持つ底知れない可能性を追求し、日本独自の素材と掛け合わせることで、世界一のチョコレートを生み出そうと構想しているのです。

本作では、エクアドルでのカカオ探求からはじまり、日本の発酵技術をテーマにした素材探しの旅に密着。そこで出会ったのは味噌、糀、みりん、塩など、こだわりの和素材でした。辻口はチョコレートと日本の素材をどう融合させるのか!? その創造の全過程をドローンや超ハイスピードカメラ等、最新の撮影技術を使い圧倒的な映像美でとらえていきます。

物語のクライマックスは、2018年のサロン・デュ・ショコラ。辻口シェフ渾身の新作チョコレートは、どのような評価を受けるのか⁉ 世界から熱い注目を集めるショコラティエ・辻口に密着し、彼のクリエーションのすべてを初めて明かす、ドキュメンタリー映画です。

(公式サイトより引用)

公開日

2019年1月25日

上映時間

80分

予告編

キャスト

  • 渡邉崇(監督)
  • 辻口博啓

公式サイト

LE CHOCOLAT DE H

作品評価

  • 映像 
  • 脚本 
  • キャスト 
  • 音楽 
  • リピート度 
  • グロ度 
  • 総合評価 

感想レビュー

©LE CHOCOLAT DE H

本作の見どころは、何と言っても成功者としてのイメージが強い辻口の知られざるルーツ、原点を知れること。

子どもの頃に本当においしいショートケーキと出会って感動した経験が、職人となった今も根底にあり、

お客様にも最高の感動を提供したいという思いがあったことを知った。

感動したショートケーキのおいしさ。その原点を成功した今でも忘れず研鑽する辻口。

ショコラは他のお菓子以上に中身が特に重要であるが、辻口自身も強いパッションとホスピタリティを以て

自身が接する周りの関係者や素材と真摯に向き合う深度に心が打たれた。

そして、和菓子屋の3代目として生を受け、すぐ近くでお菓子作りを見ながら成長するも

父親の借金・蒸発といいことばかりではなく、18歳にして父親の店もなくなってしまう苦悩も経験していた。

その後、世界的に評価を得た銘菓「セラヴィ」で有名になりテレビに出演したことがきっかけで、

感動的とはいえないものの、病床の父親とも再会を果たした。

のちに父親が、辻口が努力と挑戦、研鑽を重ねて生み出したセラヴィを食べ、涙したエピソードもあった。

本来であればあまり公には出したくない自身の経験も、本作では包み隠さずオープンに明かしたことからも

辻口が多くのファンを持ち、ゴールドタブレットを連続して受賞している理由が分かった気がした。

また、本作では藤岡弘探検隊のようにアマゾンの奥地まで行き、現地の子ども相手でも

香りを嗅いでからショコラを食べることを指南するシーンがあったが、

そんなクリエイティブな辻口の姿にもプロフェッショナルを感じた。

なお、筆者も(一社)日本スイーツ協会の会員であるが、常に会員との交流の場にも辻口本人が出てきており、

触れ合いの場を大切にし、また会員の声も大切にしている姿を肌で感じている。

まさに原点があって、そのときの経験を感動体験に変えていると思った。

まとめ

「 自分は一体何者かということを理解することが大切である 」と劇中でも語っているように、

自分を常に客観的に見つめ、過去の経験を踏まえた上でこれからも変化を恐れず、比類なき味の追求に余念がないであろう

妥協をしないクリエイティブな姿勢で新しい物を世の中に仕掛け、多くの人に感動を提供する辻口の姿と信念。

次の品評会でも味に磨きをかけて9回連続の最高評価の称号を得られることを期待するが、

本作はドローンや超ハイスピードカメラを使用しているのも特徴なので、

ぜひ本作を鑑賞して渾身のアーティスティックな映像美にも浸ってほしい。

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