文・ライター:@miyako
ホーム・アローンシリーズ第4作目となる「 ホーム・アローン4 」は、シリーズ1作目と2作目の設定をそのまま活かし、新たなキャストを迎えて制作された作品です。
主人公のケビン役を、「 夏休みのレモネード 」でユダヤ教徒の少年を演じたマイク・ワインバーグが受け継いでいます。
また、両親の離婚を描いていたり、最新設備が搭載された高級住宅が登場したりと、前3作に比べて近代的になったストーリー構成にも注目です。
今回は、「 ホーム・アローン4 」の考察レビューやあらすじ、新たなキャストについて紹介します。
ホーム・アローン4
あらすじ
もうすぐ楽しいクリスマスと思いきや、ケビンはどこか浮かない顔。父のピーターが家を出て行ってしまい、今年は寂しいクリスマスになる予感が。そんな中、兄妹たちに意地悪をされて腹を立てたケビンは、家出を決意。ケビンが向かった先は、父と父の恋人・ナタリーの住む、ハイテク設備が搭載された高級住宅だった。ロイヤルファミリーの王子を狙う泥棒を見つけてしまったケビンの運命はいかに。
原題
Home Alone 4
公開日
2002年11月3日(ABCテレビネットワークで放送)
上映時間
84分
予告編
キャスト
- ロッド・ダニエル(監督)
- マイク・ワインバーグ(主人公:ケビン・マカリスター)
- フレンチ・スチュワート(泥棒:マーブ)
- クレア・ケアリー(ケビンの母親:ケイト)
- ジェイソン・べギー(ケビンの父親:ピーター)
- ジョアンナ・ゴーイング(ピーターの恋人:ナタリー)
- エリック・アバリ(ナタリー家の使用人:プレスコット)
公式サイト
なし
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
「 ホーム・アローン2 」の公開から10年の時を経て、「 ホーム・アローン4 」では再び“ケビン”が登場。
母親のケイトや父親のピーター、泥棒のマーブなど、お馴染みの名前に気分が上がった方も多いのでは?
ただ、名前や設定は引き継いでいるものの、演じるキャストが全く異なる人物のため、多少の違和感は否めません。
ケビンと泥棒のマーブの初対面シーンでも、お互いに「 また会った!」という反応なので、設定を理解して飲み込むまで混乱してしまうかも。
“前作と関連はあるけれど、全く別の物語”として鑑賞した方が楽しめるかもしれませんね。
シリーズ4作目となる本作は、これまでのホーム・アローンとは一線を画すような要素を盛り込んでいます。
前3作では、意地悪な兄妹はいたものの、基本的には仲の良い家族の姿が描かれていました。
一方、「 ホーム・アローン4 」では両親が別居中、さらに父親には新しい恋人がいるという設定なのです。
父親の新しい恋人は資産家の大金持ちで、自宅にはハイテク設備が備わっています。
まさに“現代的なホーム・アローン”ですよね。
父親がいないクリスマスを寂しく感じるケビンは、些細なきっかけで父親とその恋人・ナタリーの住む家へと向かいます。
ナタリーは毎晩社交界に参加するほどの大金持ちで、“社交界の華”と言われる人物。
初めは緊張していたケビンですが、自動で開閉する扉や最新のおもちゃにすっかり夢中になり、ナタリーとも徐々に打ち解けていく様子を見せます。
そんな中、ケビンが使用人たちと留守番をしている間に泥棒が屋敷に忍び込む事件が起こり、必死に退治しようと試みた結果、屋敷中水浸しに。
そして、帰宅したナタリーはケビンの主張を一切信じようとせず、ひたすらに謝罪を要求します。
「 大人が自分の言葉を信じてくれない 」という部分は、シリーズ全作に共通する要素なのでしょう。
ただ、この事件をきっかけに、“泥棒と繋がっている内通者が屋敷にいる”ということが明確になります。
ホーム・アローン1,2,3では「 主人公 対 泥棒 」というシンプルな相関図でしたが、本作では「 内通者 」という複雑な要素がプラスされ、より事件性の強いストーリーになっています。
ここから、ホーム・アローンではお馴染みの泥棒を撃退するシーンが始まる、と思いきや、今回は斬新な撃退方法やひらめきが少なく、あまり見応えのない対決に。
このシーンを楽しみにしていた方は、少しガッカリしたかもしれません。
その分、両親や新恋人の関係性に焦点を当て、リアリティのある家庭問題として描いているのではないでしょうか。
両親の離婚について、ケビンと父親のピーターが会話をするシーンがあります。
ケビンは、ピーターに対して“心はいつまでも子供だから、年をとってもスポーツカーに乗りたくなる。でも、スポーツカーは狭くて人を乗せられない。かっこいいけど、一人ぼっちはつまらない”という話をします。
華やかな恋人に心を奪われているピーターを諭すような言葉です。子供は、時に核心をつくような言葉を残しますよね。
また、エリック・アバリ演じる使用人のプレスコットが良い味を出しており、物語に深みを与えています。
初めは内通者と疑ってしまうような挙動のプレスコットですが、実は心優しいユニークな使用人。最終的にはケビンの言葉に背中を押され、自分の人生を歩み始めます。
本作は、本編84分と、前3作に比べて尺が短い作品です。
そのためか、中盤から終盤にかけて駆け足で終わったような印象を受けました。
劇中では、何度かロイヤルファミリーや王子について言及されていますが、実際に登場するのはラストのみ。
泥棒の目的は王子の誘拐だったため、もう少し見てみたかったのが正直なところです。
とはいえ、本作はこれまでのホーム・アローンとは違う、現代的な要素やリアルな家族関係を盛り込んだ内容となっています。
シリーズ作品としての要素は残しつつ、新たな物語へと変化を遂げた「 ホーム・アローン4 」は、キャストやスタッフの挑戦が感じられる作品です。
ホーム・アローン4(トリビア)
この映画の舞台はイリノイ州シカゴですが、実際には南アフリカのケープタウンで撮影された。
オリジナルのケビンを演じたマコーレー・カルキンは、本作にはあまり感銘を受けなかった。
ロッド・ダニエル最後の監督作品。
本作はホーム・アローンTVシリーズになるはずだった。しかし、映画がファンや批評家から否定的な評価を受けたため、テレビシリーズの計画は中止された。
本作は多くのホームアローンファンによって、シリーズの中で最悪の作品であるとされている。