映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム(@Yoko)さんからの投稿レビューです。
昔は炭鉱で賑わっていたオハイオ州出身の主人公JD。
今では廃れてしまったこの町を出てロースクールに通うJDでしたが、故郷には薬物中毒になった母と姉が残っていました。
薬物過剰摂取で入院した母親のため、故郷に戻ったJDは、故郷に戻ることで自身の家族の過去を思い出していきます。
廃れてしまった町オハイオ州のミドルタウン。
フィクションでもなく、アメリカの寂れた地帯の実態を描いている作品が「 ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌 」です。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌

公開日
2020年11月24日
原題
Hillbilly Elegy
上映時間
115分
キャスト
- ロン・ハワード(監督)
- エイミー・アダムス
- グレン・クローズ
- ガブリエル・バッソ
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
感想レビュー

好きだった点
アメリカの寂れた地帯ラストベルトとされるオハイオ州ミドルタウンで育った主人公JD。
この地に彼の祖父がやってきた頃は、炭鉱が栄え多くの製鉄所がある賑やかな町でしたが、やがて炭鉱業が下火になってくると、町も廃れていきました。
今ではラストベルトと呼ばれるこの地で、白人はレッドネックと呼ばれている(貧しい白人と差別されている人たち)
そんな町で育ったJDの幼い頃の経験が、この町の実態を描いています。
寂れてしまった町で、仕事がない状態で生きていくしかないJDの母親ベブ。
シングルマザーのベブは、必死で娘と息子を育てようとしますが、彼女は貧しさに負けてしまいました。
やがて薬物に手を出すようになり、人生を踏み外してしまったのでした。
母親に育てられたJDの人生を振り返るのが、今作「 ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌」です。
華やかで賑やかなNYやロサンゼルスでもない貧しい町ミドルタウン。
アメリカンドリームを手にしてお金持ちになる人もいる同国で、貧しさの悪循環にハマってしまう人たちの実態が描かれています。
私たちの知らない本当のアメリカ。
格差社会の実態がこの作品で暴かれます。
日本にいると滅多に目にしないアメリカの真実を知れて勉強になる作品でした。
嫌いだった点
JDの母ベブは人生に失敗し薬物に手を出してしまいます。
ベブと母親はとても不仲です。
物語を見ていると2人が不仲なのは分かりますが、ナゼそうなってしまったのか?
これは詳しく描かれていません。
母親ベブが人生を踏み外してしまった経緯も知りたかったなと思いました。
見どころ
JDの母親ベブを演じたエイミー・アダムスと祖母を演じたグレン・クローズ。
2人の圧巻の役作りにビックリさせられます。
何度もアカデミー賞主演女優賞にノミネートされている2人が、本当に貧しく時代に飲まれてしまった母親と祖母を見事に演じています。
華やかさや美しさを消したエイミー・アダムスは、体型も変えて役に没頭していました。
この物語は主人公のJDが書いたベストセラーにもなった回顧録が原作でして、劇中ラストには本物のJDの家族の映像や写真が流れます。
そこに写っているJDの祖母は、グレン・クローズ演じる祖母と本当にソックリでした。
2代女優の女優魂を感じることができるのも、この作品の見どころであります。
考察
11月に行われたアメリカの大統領選挙。
ニュースなどの報道で何度も聞いた言葉が、ラストベルトでした。
このラストベルトの表が大統領選の結果に大きく影響すると言われていましたが、今作を見るとその理由が理解できます。
かつては栄え、今では廃れてしまい忘れ去られてしまった町の人々。
彼らは何とかしてこの貧しさから抜け出そうとしても、彼らに誰も手を差し伸べてくれる人はいません。
そんな中で間違った道に進む人が出てきてしまうのです。
彼らは共和党や民主党などの政党など関係なく、とにかく自分たちを助けてくれる人に大統領になってほしいと願っているのだなと思いました。
これが格差社会の現実なのだと思うと、心が締めつけられる思いでした。
まとめ

表には現れることのがないアメリカの実態を描いた作品「 ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌 」
この作品を見ることでアメリカの抱えている問題を知ることができます。
さらに貧しい白人を演じた2人の大女優の圧巻の演技を見ることができる作品でした。