文・ライター:@LEDMAXI
非常にシンプルな構成だと言える。
それは全ゴジラ・シリーズの最大公約数的な最適解。
怪獣映画を観たいのか?
人間ドラマを観たいのか?
それともゴジラを魅たいのか?
そのどれをも楽しめる。
抗うことは再構築といリ・スタートに他ならない。
たとえ傷付き、壊されても再生を繰り返す。
ゴジラ−1.0
あらすじ
物語の舞台は終戦後の日本。帰還した敷島浩一を待っていたのは焼け野原と化した東京だった。ある日、大石典子に出会った浩一。 共に苦境を生き抜き、徐々に復興が進む日本に突如として出現した巨大生命体。ゴジラが東京を容赦なく襲う。
原題
godzilla -1.0
公開日
2023年11月3日
上映時間
125分
予告編
キャスト
- 山崎貴(監督)
- 神木隆之介(敷島浩)
- 浜辺美波(大石典子)
- 山田裕貴(水島四郎)
- 青木崇高(橘宗作)
- 吉岡秀隆(野田健治)
- 安藤サクラ(太田澄子)
- 佐々木蔵之介(秋津清治)
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
ゴジラ−1.0(考察レビュー)
「 ゴジラ 」を描くにあたり、円谷英二の初代から派生していく「 東宝ゴジラ 」
海外展開した「 HOLLYWOOD GODZILLA 」
クールジャパン「 アニメーション・ゴジラ 」
庵野秀明が創造した「 シン・ゴジラ 」
「 ゴジラ 」の怪獣としての発生・進化・神化の深淵。
更にはHOLLYWOODのアニマル・デザスター作品のオマージュ。
「 ジョーズ 」や「 アリゲーター 」そして「 ジュラシック・パーク 」等々の生物イマジネーションの魅せ方。
このヴィジュアル解釈から山崎貴を「 和製 J・J・エイブラムス 」と評価したい。
何故に“評価”と上から目線な物言いになるかといえば、山崎貴作品とゴジラ作品は、嗜好品的にアタリハズレの振り幅が大きいと思ってるからだ。
山崎貴とゴジラの組み合せなら、失望感の確率が高いと僕が軽んじていたからに他ならない。
だが、期待度も禁じ得ないアンビバレントな思いだった。
そして、考察を深めれば山崎貴作品の集大成の帰趨が「 ゴジラ-1.0 」に昇華したとも言える。
これまで山崎貴が監督した作品群。
「 ALWAYS 三丁目の夕日 」で描いた文明発展に湧く「 成長 」と言う希望感。
「 永遠の0 」「 海賊とよばれた男 」で描かれた、第二次世界大戦末期から復興にかけての絶望と希望への虹の架け橋。
また、良くも悪くも百田尚樹イズムの反戦や反左の芳ばしさを感じる。
これは「 アルキメデスの大戦 」にも通じる「 反戦の真意 」だと感じる。
では「 ゴジラ / GODZILLA 」とは何なのか?
それは!!
巨大で平等な絶望的「 怒りと恐怖 」ではないだろうか?
一切の抵抗を拒絶する圧倒的な暴力。
生存の余裕が無い世界からは「 悪意 」も「 蔑み 」も消える。
否定も差別もイジメも戦争さえ消える。
為政者達が標榜する「 正義 」は不平等でしかない。
全ての生命にとっては不要なエゴだ。
当たり前の事実として、大国も国家も法人も“個人”には何も行使せず、塵芥の如く棄て去る。
相反する平等な「 絶対悪 」がゴジラそのものだ。
平等な恐怖 / 理不尽を目前にしたとき、人々は結束し、生きて行くことに感謝し抗う。
ゴジラに抗う力は互助 / 自助 / 信頼なのだと。
ゴジラに抗う力は、互自頼(ゴジラ)なのだと信じたい。
まとめ
本作は、現実の日本の社会情勢に置換できる。
戦後=バブル崩壊による国土破壊。
人心荒廃や格差と大国や国歌のエゴと侵略。
もしも、続編が制作されるならば、高度経済成長と公害=原子力の恩恵と、3.11と処理水海洋放出を想定した「 ゴジラ vs ヘドラ 」を期待してしまう。