荒れ果てた大地が再生する様子に励まされる傑作ドキュメンタリー。
大都会から移住した夫婦が自然の厳しさに直面しつつ、理想のオーガニック農場を作り上げていく過程を、夫のジョン・チェスター自らが映画化した作品です。
彼らの8年間にも及ぶ奮闘を、美しい映像で丁寧に、時にコミカルに描いていきます。
どんな困難がやってきても、しっかり状況を観察してコツコツ取り組めば、理想は叶えられる。
そんな希望を抱かせてくれます。
農業・土木・生物に関する知識が学べるサイト のうぎょうとぼく
ビッグ・リトル・ファーム
公開日
2020年3月14日
上映時間
91分
キャスト
- ジョン・チェスター(監督)
- ジョン・チェスター
- モリー・チェスター
予告編
考察・感想レビュー
好きだった点
好きだった点は下記の通り。
- 農業の手ほどきをしたアレンの教え
- 動物たちの可愛らしさ
< アレンの教え >
アレンはゼロから農業を始める2人に、まるで哲学者のような言葉で農場づくりの秘訣を伝えます。
全ての基礎となる土を生き返らせるのが大切だということ。
さまざまな農作物や家畜、野生の動植物が存在する多様性の重要性。
農場づくりに関する教えは、色々な分野に通じるのではないかと思います。
< 動物たちの可愛らしさ >
2人が農場を始めるきっかけとなった愛犬トッド、家畜を守るための犬たち、豚、羊、ヤギ、牛、野生生物。
どの動物も魅力的に映し出されています。
特に赤ちゃんやヒナの可愛さには、思わず頬がゆるむほど。
動物好きにはつらいシーンもありますが、そのシビアさも含めて、動物がよく撮れている作品だと思います。
嫌いだった点
映像は全体的に素晴らしいのですが、前半の方でトッドが映っているシーン。
手振れが激しい部分があってちょっと酔いそうでした。
農場を始める前、トッドとの生活が始まったあたりの場面ですし、恐らくはプライベート用に撮影した映像だと思うので仕方ないのですが、
苦手な人は要注意かと思います。
見どころ
一番の見どころは、美しい映像で描かれる農場の移り変わり。
ひび割れた地面の荒れた農地が少しずつ生命力を取り戻す様子は、本当に素晴らしいです!
特に農場に柔らかく光が差し込む様は、まさに希望の光のようでした。
動物が植物を食べ、動物がフンをしてそれを肥料に植物が育つ。
知識としては知っていたそのサイクルも、映像として見るとすごくグッときます。
もちろん、夫婦とスタッフの手入れのおかげでもあるのですが、何よりも自然の偉大さに心を打たれました。
特に、作中で“ 不調和 ”と例えられた、害虫や害獣と思われていたものたち。
実は農場のサイクルにおいて、これらは重要な役割を持っているということが判明するシーンには考えさせられました。
「 自分は不調和な人や物事を、深く考えずに排除していないだろうか 」
「 不調和をなくすのは、正しいことなのか 」
などと、自問自答しながら見ていました。
本作は、世界各国の映画祭で観客賞を受賞し、メディアでも絶賛されています。
その理由はどこにあるのでしょうか?
その理由として考えられるのが、8年間という長い月日を非常にテンポよく描いている点です。
ドキュメンタリーの場合、どうしてもフィクションに比べて単調になりがちなのですが、この作品は起伏がはっきりしていて、
続きが気になって仕方がなかったです。
構成が見事で、ターニングポイントとなる出来事を適度なスパンで配置するとともに、伏線もしっかりとしていましたね。
また、冒頭で「 農場最大の危機 」が途中まで描かれているのも、非常によいと思います。
最後まで、冒頭のあれはどうなるのだろうと、スリリングな気持ちで見ることができました。
まとめ
農場の美しさに癒されつつ、「 自分も諦めずに頑張ろう 」と思わせてくれる作品です。
普段あまりドキュメンタリー映画は見ないのですが、本当によかった。
最近気分が沈みがちな人に、特におすすめです!