A.I.(2001)

原題(英題)
A.I. Artificial Intelligence
公開日
2001年6月30日
上映時間
146分
キャスト
- スティーブン・スピルバーグ(監督)
- ハーレイ・ジョエル・オスメント
- フランシス・オコナー
- ジュード・ロウ
- サム・ロバーズ
- ブレンダン・グリーソン
- ジェイク・トーマス
- ウィリアム・ハート
- ベン・キングズレー
- ロビン・ウィリアムズ
- メリル・ストリープ
コメント
スタンリー・キューブリックが生前に温めていた企画をスピルバーグが映画化。
AIが発達した近未来を高いクオリティで映像化し、美しくも切ない愛の物語を描いた。
ロボットを破壊するお祭り“ ジャンク・フェア ”や、歓楽街の“ ルージュ・シティ ”、海に沈んだマンハッタンなどの舞台が、映画の世界観を精巧に作り上げている。
不気味で異質ながらも、純粋で感傷的なストーリーが痛いほど胸を打つ本作の観賞後は、深い余韻で満たされる。
物語は、愛することをインプットされたAIの“ デイビット ”が、母親に愛を求めることから始まる。
「 ピノキオ 」を人間にしたブルー・フェアリーを求めて動き出すも、さまざまな試練がデイビットに襲いかかるのだった。
キューブリックの草案にあった“ 甘い部分 ”を忠実に再現しながら、スピルバーグならではの暗黒面を反映させ、自然なアンバランスさを実現させたのが本作。
つまり、多くの人がスピルバーグだと思う演出はキューブリックのもので、キューブリックのようだと思う部分はスピルバーグによって追加された演出なのだ。
それこそが本作を奇妙な物語たらしめている理由に他ならないのだろう。
マイノリティ・リポート(2002)

原題(英題)
Minority Report
公開日
2002年12月7日
上映時間
145分
キャスト
- スティーブン・スピルバーグ(監督)
- トム・クルーズ
- コリン・ファレル
- サマンサ・モートン
- マックス・フォン・シドー
- ロイス・スミス
- ピーター・ストーメア
- ティム・ブレイク・ネルソン
- スティーブ・ハリス
- キャスリン・モリス
- マイク・バインダー
コメント
「 トータル・リコール 」(1990)や「 ブレードランナー 」(1982)などで知られるフィリップ・K・ディックの短編小説「 マイノリティ・リポート 」を原作に、スピルバーグが映画化。
スピルバーグは未来で起こり得る犯罪を的確に描くために、専門家を集めて研究チームを発足させた。
そうして殺人発生率0%の近未来、2054年のワシントンDCの都市やシステム、映像などをリアルに作り上げたのだ。
未来の犯罪を予知できる” プリコグ “により、未然に犯行を防ぐ犯罪予防局があった。
そこで働く刑事のジョンは、ある日身に覚えのない犯罪容疑をかけられてしまう。
疑惑を晴らそうと奮闘するも、思わぬ陰謀が見え隠れする。
先の気になるミステリアスな展開と作り込まれたセットたちが観客を映画の世界に引きずり込む。
主演のジョンにトム・クルーズ、他にもコリン・ファレルやサマンサ・モートンらが出演し、映画を盛り上げる。
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002)

原題(英題)
Catch Me If You Can
公開日
2003年3月21日
上映時間
141分
キャスト
- スティーブン・スピルバーグ(監督)
- レオナルド・ディカプリオ
- トム・ハンクス
- クリストファー・ウォーケン
- マーティン・シーン
- ナタリー・バイ
- エイミー・アダムス
- ジェニファー・ガーナー
- エリザベス・バンクス
コメント
レオナルド・ディカプリオとトム・ハンクスが主演の、実話に基づいた犯罪ドラマ。
ディカプリオが演じるフランク・アバグネイルは実在した人物。
パイロットや医者になりすまして世界中を飛び回り、大金を騙し取った天才詐欺師である。
対するトム・ハンクスは、フランクを追いかける捜査官・ハンラティを演じ、実に興味深い鬼ごっこを魅せてくれた。
個人的にスピルバーグの作品の中でも指折りに入るほど好きな作品で、その理由はなんと言っても人間ドラマにある。
フランクが大胆な詐欺に及んだ動機や、捜査官のハランティとの駆け引きは人間味に溢れ、詐欺師といえど若いフランクの子どもっぽさが、本作をただの犯罪劇に終わらせずユニークなヒューマンドラマに押し上げている。
カメラワークから伏線、演出まで全てがうまい。
スピルバーグの手の上でコロコロと転がされているようで、実に気持ちよいのだ。
特に終盤からラストにかけては素晴らしい。
まるで飛行機が滑走路に着陸し、スムーズにエンジンを停止させるかのような終わり方である。
到着した乗客は、いまだ空の旅の余韻に浸るように、フワリとした満足感に包まれるだろう。
ターミナル(2004)

原題(英題)
The Terminal
公開日
2004年12月18日
上映時間
129分
キャスト
- スティーブン・スピルバーグ(監督)
- トム・ハンクス
- キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
- スタンリー・トゥッチ
- シャイ・マクブライド
- ディエゴ・ルナ
- ゾーイ・サルダナ
コメント
前作の「 キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 」に続きトム・ハンクスを主演に迎え、空港で足止めを食らった男の物語をユーモアに描き出す。
ある目的を持ってニューヨークのJFK国際空港へ降り立つものの、祖国がクーデターにより消滅。
空港の中から一歩たりとも出られなくなってしまった男は、そのままターミナルで生活し始める、という筋書きだ。
一見リアルに思えて、実はファンタジー。しかし、完全に非現実的だと断定もできない絶妙なバランスで物語が進む。
多様なキャラクターを交えて異文化交流を果たしていく主人公は、いつしかターミナルで親しまれる存在になってゆくのだが、これがまた笑える。
この作品を見るためだけにサブスクに登録してもいいと思えるくらい心が満たされる。
そして、男が空港へ降り立った本当の目的が明かされるとき、込み上げてくるのは笑いか涙か、それとも「 どうにかしてやりたい 」という母性本能か。
いずれにせよ、心から「 見てよかった 」と思える映画には違いない。
宇宙戦争(2005)

原題(英題)
War of the Worlds
公開日
2005年6月29日
上映時間
114分
キャスト
- スティーブン・スピルバーグ(監督)
- トム・クルーズ
- ダコタ・ファニング
- ミランダ・オットー
- ティム・ロビンス
- ジャスティン・チャットウィン
- リック・ゴンザレス
コメント
H・G・ウェルズの「 宇宙戦争 」を、トム・クルーズを主演に迎え映画化したスピルバーグのSF作品。
「 未知との遭遇 」や「 E.T. 」とは打って変わって、エイリアンの明確な敵意と破壊行動が分かる。
スピルバーグは、9.11に代表されるテロ行為の残虐さや怖さを反映していると語る。
確かに突然宇宙人が侵略してくる様は、とてつもなく怖い。
ふとした瞬間に日常が奪われる恐怖は、この映画によって疑似体験できるものの、想像しただけでも怒りが湧いてくる。
「 マイノリティ・リポート 」から二度目のタッグを組むトム・クルーズは、逃げ惑うただの一般市民。
父親として子どもを守るべく奮闘するその姿に、家族愛を感じる方も多いだろう。
実際「 スティーブンも僕も、子どもたちへの思いをこの映画の中で表現したいと思っている。どれだけ僕が子どもたちを愛していることか 」と語るトム・クルーズ。
本作では反戦の意とともに、“ 家族への愛 ”が重要なテーマなのだろう。
あなたもぜひ一度観賞してからそのメッセージを感じ取ってほしい。