「 マリンチャレンジプログラム2024 」全国大会レポ

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2025年2月15日、都内某所で行われた「 マリンチャレンジプログラム2024 」全国大会の様子をレポートします。

本大会は日本財団 海と日本プロジェクトの一環で開催され、日本財団、JASTO、リバネスの共催プロジェクトとなります。

大会の主旨

海洋分野での課題を見つけ、人と海との未来を創り出す仲間づくりのため海洋・水環境分野の研究に挑戦する10代の次世代研究者を応援するもの。

本プロジェクトの特徴は、各40チームに研究費5万円、研究コーチによる研究と発表サポートがあることだ。

2024年3月、100近い応募の中から書類審査とオンライン面談を通過した40チーム(個人応募含む)が選出された。

40チームから15チームに絞られた各チームは、自分たちの発表をブラッシュアップし、全国大会に集結した。

目次

取材レポ

どの子も緊張の様子があまり見えず、愛ある厳しい審査員の質問にも動じずに答えているのが印象的。審査員の先生方が本気で生徒に挑み、その子の良さを引き出そうとしている点に、学者としてではなく、教育者しての視点が入っていたと思う。

彼らの言語能力を際立たせたスライド資料、これらが実に分かりやすかった。今は学習用AIの導入も許されているため、その恩恵もあるのだろうが、筆者からすると驚くほど立派だった。

自分を魅せるのが上手い子もいれば、そうでない子もいた。しかしどちらに優劣があるかというとそうではない。得意分野を活かし、苦手な面は資料や先輩方の残したデータで圧倒したチームもあった。

考察・まとめ等の「 テンプレート 」がしっかりしている点は学校教育の賜物と思う。しかし、オンラインイベントではないのだから、躍動感のあるプレゼンがあっても良かったように思う。工夫を凝らし、チームだからこその演出もあったはず。

チャレンジできる環境を振り返る

オリンピックと違い、このようなプロジェクトは多くの人にチャンスが与えられている。

しかし、自分に自信がなく、話も苦手、友人と一緒にやることにも不安がある。

そのような子も多いのを、筆者は知っている。

自己肯定感という言葉が使われ始めてだいぶ経つ。

最近では「 体験格差 」という言葉もあるように、多くの成功体験を通じて、たくさん褒められ、コンテスト慣れしている子もいる。

一方で、同じ国に生まれ育ちながら、チャンスさえない子がいるのも事実。

筆者は、さまざまなSDGS問題のドキュメンタリー考察記事を書くライターだ。

だからこそ、精神面、健康面、経済面において、応募資格のあったことにまずは感謝してくれたら嬉しく思う。

どんな子にも等しく応募資格を与えることを望む。例えば資格を年齢のみにする。そうすれば学校に行っていない子でも出場できる。

全国大会で会えなかった君たちへ

残念ながら、今日、私と会えなかった君たちは、決して「 落選 」したわけではない。

「 今回は落選 」したが、この先は分からない。このプロジェクト1つで全てが変わるわけでもない。変えられてはたまらない。

次に向かって下さい。若い時は虚勢を張っていいのです。自分を選ばなかった審査員達の名前を覚えるくらいでいい。

ちなみに私は、私のエッセイを落とした審査員の名前をメモに記しています。いつか一緒に仕事して「 あの時、落としてくれたから今があります 」そう言おうと思っている。

先生・保護者の皆様へ

子どもとは、3歳になるまでに一生分の親孝行をすると言われるくらい愛しいもの。

我が子を天才と感じた瞬間のある親は、私の周りでは100%です。

それほど、親にとって我が子は常に輝いています。

親がしてはいけないことは「 この先を目指すよう誘導しないこと 」

親が誘導すれば、「 好き 」が「 嫌い 」になる年頃の子どもであるからです。

親は「 聞くだけ 」環境も整えなくていいです。本気なら、自分で環境を整えるために頭を使います。

生徒にとって、教師との出会いは、学生生活において「 最も 」大切な要素です。

どの学校に行くかではなく、どの教師と出会うかで、その子の将来が決まると言っても過言ではありません。

サイエンス分野は苦手でも、友達の多い子や、嫌がる仕事を引き受ける子など、勉強面以外で光っている子のサポートにも全力を注いでくれたら嬉しいです。

インタビュー

早稲田大学高等学院(鈴木 雅人)/ 東京都

最優秀賞

研究テーマ:沖縄産サンゴにおける刺胞毒の調査とパリトキシンの謎

「 個人での応募。高校一年生から研究をはじめ、何も分からない状態からスタートした。最初は1人で失敗の連続だったが、自ら様々な企業や大学に働きかけ、支援をもらった。研究テーマを発信したい理由は、サンゴの可能性を知ってもらいたいから 」

浅野学園(吉澤 慶)/ 神奈川県

研究テーマ:ネズミザメ科2種における三日月型尾鰭への発達過程

「 他の研究のレベルが高くてちょっと怖いです。ネズミザメは目が大きくクリクリしていて可愛いのが好き 」

浜松学芸高等学校(勝谷 恵伍)/ 静岡県

研究テーマ:雨降って地崩れる ~小河川内での土砂移動の把握に向けて~

「 土砂が多すぎても少なくても問題。そういう日常にある身近なところに課題を見つけるのが強み。理論物理をやっていきたい。この研究の成果が伝わるように頑張ります 」

姫路市立飾磨高等学校(山下 明徳)/ 兵庫県

研究テーマ:スズキの捕食行動における利きはいつ、どのように獲得されるのか

「 生物部の活動(釣り)でスズキの下あごの異変に気付き、部員たちと相談して出場を決めた。部員が多いのが強みで、皆で分担して頑張った。この研究成果を下の世代にもつなげたい 」

熊本学園大学付属高等学校(浦川 恵祐)/ 熊本県

研究テーマ:世界一美味しい八代海のアサリの増産を目指して

「 先輩方から引き継いだ研究を引き継ぐ形で応募しました。膨大なデータと地道な研究が強みです 」

熊本県立東稜高等学校(矢立 唯真)/ 熊本県

リバネス賞

研究テーマ:カワリヌマエビ属に共生するエビヤドリツノムシ2種の生息状況

「 初めての応募です。元々、生物部で研究していたテーマが、今回のプロジェクト内容に合致し、先生の紹介でチャレンジ。準備期間はチームに採択されてからです 」

以上、6人の方、自分から寄ってきてくれた浦川くん、ありがとう。結果は マリンチャレンジプログラム(公式サイト)より。

最後に、受賞した君たちへ

「 君たちはこれからどの道へ行く? 次は何を選ぼうか、休むのもいいんじゃない?」

コンテスト受賞の1つや2つ位で人の価値は判断できない。別に未来の研究者にならなくてもいい。途中で興味が変わってもいい。

君たちの凄さは、ここまで継続した努力であり、その興味から目を逸らさなかったこと。

世の中には凄い人がいる。君たちの洞察力なら世界に出ればすぐに分かるだろう。

小さな島国で賞を取ったら、それをネタにして世界に出ていくといい。

君たちは、どんな分野でも課題発見・解決能力があるということが今回、証明されたのだから。

次回の戦いは目前!応募期間は2月21日18時まで。 マリンチャレンジプログラム2025

最後に、ドキュメンタリーライターの筆者から、ぜひ視聴してほしい作品は以下の通り。

グッドウィルハンティング

型破りな教室

執筆者

文・ライター:栗秋美穂

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Official Note

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