「 キング・オブ・シーヴズ 」考察レビュー、イギリス史に残る実話の金庫破りジジイ集団

当ページの画像はIMDbまたは公式サイトより引用
キング・オブ・シーヴズ
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映画ライフ楽しんでますか?

今回は、ペンネーム(@ジョナ)さんからの投稿レビューです。

緊急事態下、雪の降る神戸のミニシアターで観ました。

観客の平均年齢は高めの印象でした。

それでも、平均年齢の高さと意外性という点では、今作の登場人物たちには及びません。

かつて「 泥棒の王 」と呼ばれた77歳の主人公を筆頭に、平均年齢60歳以上の、おじいちゃんたちが、イギリス史上、最高額の金庫破りをするというのですから。

この記事では、オールド集団を描いた、他の作品と比べながら、今作の魅力について書きたいと思います。

画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)

目次

キング・オブ・シーヴズ

キング・オブ・シーヴズ
©キング・オブ・シーヴズ

公開日

2021115

原題

King of Thieves

上映時間

108

キャスト

  • ジェームズ・マーシュ(監督)
  • マイケル・ケイン
  • ジム・ブロードベント
  • トム・コートネイ

予告編

公式サイト

キング・オブ・シーヴズ

作品評価

[rate title=”5つ星”]

[value 3]映像[/value]

[value 2]脚本[/value]

[value 4]キャスト[/value]

[value 4]音楽(BGM)[/value]

[value 2]リピート度[/value]

[value 1]グロ度[/value]

[value 3 end]総合評価[/value]

[/rate]

感想レビュー

キング・オブ・シーヴズ
©キング・オブ・シーヴズ

好きだった点

前半のテンポ感と、音楽がとてもよかったです。

マイルス・デイヴィスのトランペットが、古き良き時代を演出したかと思えば、ジャズとクラシックをミックスした現代風の音楽が、窃盗団の金庫破りのスリリングなシーンを引き立てていました。

作中に、ジャズとクラシックとUKロックを散りばめることで、シンプルな構成であっても物語の時代感が立体的に感じられました。

若者(共犯者のバジルと警官たち)との対比も面白かったです。

金庫破りといえば、ラスベガスの金庫室を犯罪スペシャリストたちが狙う「 オーシャンズ11 」のようなクールさはありませんでした。

耳が遠いため警報音に気付かなかったり、緊迫するシーンで脈が上がり椅子で休んだり、インシュリンをお尻に打ってもらったりと、老人あるあるが満載で場内でもお年寄りの「 ふふふ 」という共感の声が漏れていました。

オーシャンズならぬ、ジーサンズですね(笑)

それでも、老熟した渋さがにじみ出ていました。

歳を重ねることでしか表れない魅力ですね。

嫌いだった点

前半のテンポ感が良すぎて、金庫破りがアッサリと成功したように感じました。

後半は計画の成功もつかの間、犯人同士の内輪もめが延々と続きます。

人間関係の生々しさ、欲に溺れる人間のかっこ悪さを見せつけられるので、何とも居心地が悪くなってしまいました。

彼らがアッサリと捕まってしまうのも拍子抜けです。

警官(=若者)と窃盗団(=老人)という図式で、現代のハイテク捜査と、そのことを全く知らないジーサンズたちの落差が、ユーモアを生み出してはいましたが。

見どころ

名優たちの圧倒的なキャリアと演技が見どころです。

特に主演のブライアン演じるマイケル・ケイン。

彼は、「 テネット 」「 ダークナイト 」トリロジー他、クリストファー・ノーラン監督とは7本も一緒に映画を撮っています。

本物のブライアンの娘が、脚本家のジョー・ベンホールに「 誰が私の父親を演じるのか?」と尋ね、

マイケル・ケインと知ると、「 ありきたりね 」と答えたそうですが、ケインには受け入れがたい評価だったようです。

だからこそ、訛りのある話し方を工夫したりと、さらに奮い立ったのでしょう。

各俳優たちの頑張りぶりは、ぜひ映画の中で楽しんでみてください。

スーツをビシッと着たジーサンズが、若かりし頃の出演作と重なりながら退場するシーンは、くれぐれもお見逃しなく。

考察レビュー

キング・オブ・シーヴズ
©キング・オブ・シーヴズ

高齢化社会である今、老人たちが主人公になった作品が多くヒットしていますね。

その理由を考えてみます。

北野武監督の「 龍三と七人の子分たち 」は年老いたヤクザたちの青春コメディ映画でした。

しかし、今作のような実話ベースではないので、深みには欠けていたように思います(それが良さでもあります)。

実話ベースで老人が主人公の作品では、クリント・イーストウッド主演・監督の「 運び屋 」が名作でした。

今作は龍三の軽みと運び屋の重みを、うまく合わせて英国風に仕上げたという感じです。

老いとは、生き続けていれば誰もが直面するもの。

老人映画は、老いをどのように迎え入れるかということを、若者たちに教えてくれます。

「 六十青春 」という言葉があるように、高齢者たちには共感だけではなく、青春はいつまでも楽しめることを気付かせてくれるはずです。

私自身、いまの年齢の倍ほど長生きできたら検証してみようと思います。

気になったのは、海外逃亡し未だに捕まっていない若者バジルの存在。

彼が今作を見る機会があるとして、どのように感じるのか。

服役中のブライアンたちよりも、バジルのその後が気になります。

まとめ

キング・オブ・シーヴズ
©キング・オブ・シーヴズ

コロナの時代。

予想に反して、観客数は多かったです。

映画なんか見てる場合か、という声もあるようですが、マスクをしたまま言い返しますね。

映画なんか、見てる場合だ!(上映前の宣伝より引用)

キング・オブ・シーヴズ

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