前作の「 マッドマックス 怒りのデス・ロード 」から9年ぶりとなった本作。
日本での劇場公開を、首を長くして待っていたファンも多いことだろう。
怒りのデス・ロードで劇的な脱出劇とド派手なカーバトルを繰り広げた“フュリオサ”の前日譚が語られる。
すでに全世界で大ヒットを記録しており、日本でも大興奮の渦中で幕を開けた。
前作を超える物語の厚みと、個性的なキャラクターたちが繰り広げるマッドな世界が最高に面白い本作は、見応え抜群の傑作映画だ。
本記事では、本作のキャスト陣に焦点を当てて「 マッドマックス:フュリオサ 」の魅力と感想を語っていく。
マッドマックス:フュリオサ
原題
Furiosa: A Mad Max Saga
公開日
2024年5月31日
上映時間
148分
予告編
キャスト
- ジョージ・ミラー(監督)
- アニヤ・テイラー=ジョイ
- クリス・ヘムズワース
- トム・バーク
- アリーラ・ブラウン
- チャーリー・フレイザー
- ラッキー・ヒューム
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- 総合評価
考察レビュー
若きフュリオサを演じるアニャ・テイラー=ジョイ
怒りのデスロードで主人公並みの存在感を放ち、世界中を魅了したフュリオサ。
廃れた荒野で唯一のオアシスである砦を牛耳るカリスマ的支配者、イモータン・ジョーの魔の手から逃れ、劇的な脱出劇を繰り広げた。
そんな強き女戦士を演じたシャーリーズ・セロンに代わり、本作で若きフュリオサを演じるのはアニャ・テイラー=ジョイだ。
日本では「 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 」のピーチ役で声優を勤めたのも記憶に新しい。
シャーリーズ・セロンをCG技術で起用する考えもあったそうなのだが、結局はアニャ・テイラー=ジョイが起用された。
シャーリーズ・セロンのフュリオサを待ち望んでいたファンも多いだろうが、個人的にはアニャ・テイラー=ジョイが演じる本作のフュリオサも、美しくてカッコよくて大好きだ。
印象的で力強い目と、繊細かつ強靭なハートを思わせる口よりも多弁な表情は、まさに復讐の戦士フュリオサにピッタリである。
彼女の特徴的な“目”は、セリフの少ないフュリオサには欠かせない要素なのではないか。
さらに、潜伏のために顔を覆うシーンも多く、フュリオサを認識するためのパーツが目だけになる場面も多い。
そんな本作だからこそ、アニャ・テイラー=ジョイが抜擢されたに違いない。
彼女のフュリオサとしての驚異的な演技は、観客を釘付けにし、マッドな世界へと引き込む力がある。
まさかのヴィラン!クリス・ヘムズワースのカリスマ的悪党が誕生!
クリス・ヘムズワースといえば「 アベンジャーズ 」シリーズでもおなじみのヒーローである“マイティ・ソー”を演じて、日本でも絶大な人気を獲得した俳優の一人だ。
そんな彼が、本作ではフュリオサを連れ去るバイカー集団のカリスマ的リーダー、ディメンタス将軍として悪役を演じる。
バイカー集団を束ねるディメンタス将軍のマッド(狂気)は、群を抜いている。
圧倒的な支配者であるイモータン・ジョーと互角に渡り合う姿は、ゾクゾクしてたまらない。
私は彼をヒーローとして認識していたが、本作のディメンタス将軍で悪役としての印象をすっかり植え付けられた気がする。
だが、すでにお気づきの方もいるだろうが赤マントにタンクトップのビジュアルは、ソーのオマージュとしか思えない。
本作でヒーローから悪役へと転じたクリス・ヘムズワースだが、実は本作に特別な思い入れがあったのをご存じだろうか。
彼の出身はオーストラリアであり、父と映画を観ては作品について語り合い楽しんでいたという。
「 クロコダイル・ダンディー 」と、メル・ギブソンが演じた1979年の「 マッドマックス 」シリーズは、彼の映画人生の中でも多大な影響を受けた作品と語っている。
特にオーストラリア映画の代表的な映画である「 マッドマックス 」に関しては、観賞後に父親と熱く語りあったのだそう。
クリス・ヘムズワースにとっては大事な作品であり、本作の出演が決まった際には「 若い頃の自分に、夢が叶ったよと伝えたい 」とも語っている。
若き日のクリス・ヘムズワースが夢にまでみた「 マッドマックス 」の出演。
そんな彼が演じるディメンタス将軍に、一瞬たりとも目が離せない。
リピート必須?監督が語るマッドマックスの世界
私は本作を映画館で観終わり外に出た瞬間「 もう一度観たい!」と思った。
まるで座席と私に括り付けられた糸に引っ張られるかのような感覚だった。
この感覚を味わったのちに、ジョージ・ミラー監督のインタビューを読んだら、監督も傑作を観た後にまったく同じ感覚を味わっていたことを知り、密かに喜んだのはここだけの話。
まさしく今回の「 マッドマックス:フュリオサ 」も、もう一度見返したくなる傑作映画だ。
「 寓話であるがゆえに、その解釈は観る者の世界観に委ねられる。それぞれの人生の経験によって、意味を持つものになる。それが寓話の本質です 」と語るジョージ・ミラー監督。
一度観ただけでは気がつかない物語の本質を知るために、何度も通いたくなる。
「 細かいディテール、さりげないジェスチャーでさえも、皆さんが観るたびに気付くことがあると思います。~省略~リピート鑑賞することで、得るものがあると思ってもらえると嬉しいです 」
こんなことを言われてしまったら、なおのこと見返したくなるのが映画好きというものだろう。
果たして二度目はどのようなマッドな世界を楽しめるのだろうか。
いまだ興奮の冷めやらぬ私だが、映画館の上映スケジュールを確認してから、今夜は大人しく眠ることにしよう。
ライター:みくと