「 関心領域 」ネタバレなし考察、アウシュヴィッツ収容所の隣に住む家族の無関心【 実話 】

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関心領域
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本作をタイトルから関心と無関心と音響と映像のみに注視すると、それは本作の主旨から外れてしまうだろう。

フィジカルとメンタルが正常値囲で鑑賞すれば良作。ダウナー時では苦く感じるだろう。

人は人と関心相対る時、その領域には責任が生まれる事を改めて知るだろう。

目次

関心領域

関心領域
©The Zone of Interest

あらすじ

アウシュヴィッツ収容所と壁ひとつ隔てた隣に暮らす1組の家族。彼らが穏やかで幸せな日常を過ごす一方で、収容所のおぞましい実態が明らかになっていく。

公式サイトより

原題

The Zone of Interest

公開日

2024年5月24日

上映時間

105分

予告編

キャスト

  • ジョナサン・グレイザー(監督)
  • クリスティアン・フリーデル
  • サンドラ・ヒュラー

公式サイト

関心領域

作品評価

  • 映像
  • 脚本
  • キャスト
  • 音楽
  • リピート度
  • 総合評価

考察レビュー

関心領域
©The Zone of Interest

先ず、関心領域とは?

ポーランドのオシフィエンチム郊外に置かれたアウシュビッツ強制収容所群、約40平方キロの地域をナチス親衛隊が隠語として用いた呼称である。

本作に於いて、当該タイトルから“関心と無関心”またはアカデミー賞受賞から音響効果=音による認知効果について語られている。

果たしてそれだけだろうか?

先ずジョナサン・グレイザー監督の演出が、映画でもMV(ジャミロクワイ等)でも、常に実験的な演出を試みている。

本作で言えば、映像とストーリーだけならば、単館系上映が似合う作品だと思う。

しかし、音楽に音響の演出に最新の立体音響が提供出来るシアターは不可欠となる。

この構成と映像的な演出で、頭を過ったのインスタレーションだった。

インスタレーションは、1970年代頃から一般的になった芸術表現。

平面の絵画、立体の彫刻、奏でられる音楽、等々の全てを融合させている。

人が俯瞰する芸術ではなく、人が芸術の中に佇む空間芸術。

正にグレイザー監督は、シアターをインスタレーションの場に変換させしめた。

この演出は、日本の能や歌舞伎的な空間演出に近しい系統を感じる。

だからなのか、僕の中で発生したワードは“調”と“責任”と“自覚”だった。

ヘス司令官と妻、集められた歯を駒にして遊ぶ息子、窯で焼かれる魔女の話しを寝物語に楽しむ娘…

異質感に耐えられ無かったのは祖母だけか?

いや、祖母も妻も根は変わらない。

では…彼等は“悪”なのか?

違う、自ら進んで意図して現代認識の悪行を謳歌していた訳ではない。

しかし、時代は人々の心を全体意識として導く。

それをプロパガンダとも言う。

地球人類の中で最も優良民族たるアーリア人は、それ以外の民族を殲滅する事で、地球を最優良人種が君臨する様に意識付けた。

人々は同調し、協調しあい完調に向かった。

不協和音と対比する調べは、

  • 同調
  • 協調
  • 強調
  • 調和
  • 哀調
  • 格調
  • 完調
  • 基調
  • 転調
  • 失調
  • 体調
  • 単調
  • 短調
  • 多調
  • 順調
  • 好調
  • 情調
  • 色調
  • 好調
  • 高調

と急調等々が各シーンの構成の軸になっている。

その間合いに責任と自覚の有無が際立ち表層化していく。

そして、彼等は更に自覚を無自覚化する事で責任を破棄し“無”と化していく。

見たくないことは見ない。

考えたくないことは考えない。

現実の造作と本質よりも未来の想像を優先し現実を置き去りにしていく。

その結果の未来=現在の在り様が示唆されているのではないだろうか?

まとめ

見たくないことは見なくていい。

聞きたくないことは聞かなくていい。

でも…それは、もう見てしまっている。

それを、既に聞こえてしまっている。

人が人として関係し集団になり、社会を構築して創造していく。

その一挙手一投足全てに責任と自覚が在ることを決して忘れてはならない。

執筆者

ライター:LEDMAXI

関心領域

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