ヒーロー物?
ポピュリズム物?
スプラッター物?
作品に求める志向性で賛否は拡大するだろう。
それは人間と怪人の関係に似ている。
現実の日本の歴史と石ノ森章太郎が描きたかった仮面ライダーとは?
仮面ライダーBLACK SUN

あらすじ
2022年、人間と怪人が共存する混沌の時代。人権活動家の和泉葵は、差別の撤廃を訴える中でブラックサンと呼ばれる次期創世王候補の南光太郎と出会う。50年の歴史に隠された真実と幽閉されたもう一人の創世王候補、シャドームーン=秋月信彦の存在が明らかになる。
公開日
2022年10月28日
上映時間
全10話(50分前後)
キャスト
- 白石和彌(監督)
- 南光太郎(仮面ライダーBLACK SUN):西島秀俊
- 秋月信彦(仮面ライダーSHADOWMOON):中村倫也
- 和泉葵:平澤宏々路
- 小松俊介(雀怪人):木村舷碁
- ダロム(三葉⾍怪⼈):中村梅雀
- コウモリ怪⼈(⼤蝙蝠怪⼈):音尾琢真
- クジラ怪⼈(⽩⻑須鯨怪⼈):濱田岳
- 井垣 渉:今野浩喜
- クモ怪人(蜘蛛怪人):沖原一生
- アネモネ怪人(金鳳花怪人):筧美和子
- ビシュム(翼⻯怪⼈):吉田羊
- バラオム(剣⻭⻁怪⼈):プリティ太田
- ビルゲニア(古代甲冑⿂怪⼈):三浦貴大
- ノミ怪人:黒田大輔
- 堂波真一:ルー大柴
- 仁村 勲:尾美としのり
- 新城ゆかり:芋生悠
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー

本作はスタイリッシュなテレビ版「 仮面ライダー 」を期待したのなら、大きく裏切られるだろう。
物語は50年前の1972年と現代2022年が唐突に入れ代わり展開していく。
その中で中村倫也だけは髪型やファッションを除けば、そのままの姿で存在し、ルー大柴も現代の内閣総理大臣と50年前の内閣総理大臣(祖父)として2役を演じる。
その為に、キャラクター配置を把握するまでは混乱を招く可能性が高い。
知るべきは50年前の日本国の状況である。(終戦直後の日本は、GHQの支配下にあった)
1951年の吉田茂政権下、「 サンフランシスコ講和条約 」で独立国家として日本が連合国から認められ、翌年に日本と米国間で結ばれた「 日米安全保障条約 」が公布される。
しかし、1960年の岸信介政権下で「 新日米安全保障条約 」が結ばれ、日米は軍事同盟となった。
憲法第9条があるにも関わらず、国内軍備設置と在日米軍基地を国家として承認した。
戦後、平和を願う若者達は政府に反対運動を決起したのが「 安保闘争 」
1960(昭和35)年、日本は日米安保条約の改定問題を巡って混乱が続いた。5月20日の衆議院での強行採決をきっかけに反対運動は一段と盛り上がった。6月15日、全学連は国会構内になだれ込むなど警官隊と激しく衝突した。この衝突で東大生、樺美智子さんが死亡したほか学生・警官双方の重軽傷者は数百人にのぼった。学生たちは警察のトラックに放火し、深夜の国会周辺は凄惨な雰囲気に包まれた。1カ月後、新安保条約は6月19日午前0時、自然承認となった。
by NHK アーカイブス
60年安保は、岸が暴力団も使い阻止を試みた。
70年安保は大学生達が中心に闘争を試みたが、拡大拡散した組織は何時しか内部闘争(内ゲバ)を起こし、オーガナイザーは権力に寝返るなど凄惨を極めた。
岸信介の理念改憲を御旗に掲げる自民党が牛耳る、現在の日本国への符号が本作に散りばめられている。
それは、あくまでも露骨にわかり易く。
更には「 在日 」と言う人種差別思想にも言及している。
僕は石ノ森章太郎のファンでもあるので本作は意志を受継いでいる。
僕は白石和彌のファンでもあるので、本作に落し込んだ苦しみと怒りと哀しみを理解できる。
そんな時代をリアルに見立て石ノ森章太郎の最後の「 仮面ライダー 」に落とし込んだ。
大きな波濤に対して、小さなうねりは呑み込まれてしまう現実。
しかし、尚も抗う魂の炎は消えない。
異なる民族も人種も組織も上っ面な笑顔で成り立っても本質的な融合はありえない。
繋ぐには血肉に心を差し出し削り屠り合いながら、生命の起源として解り合わなければ成立たない切実を目の当りにする。
まとめ
貴方は何のために戦いますか?
貴方は誰のために闘いますか?
生命は燃えていますか?
生命は輝いていますか?
mnuuuu…uuu……変身!!