ビリー・ホリデイが降りてきたかのよう。
主演アンドラ・デイの迫真の演技と歌声にクギ付け。
哀しみが溢れながらも、彼女の逞しさがまぶしい傑作。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ
公開日
2022年2月11日
原題
The United States vs. Billie Holiday
上映時間
131分
キャスト
- リー・ダニエルズ(監督)
- アンドラ・デイ
- トレヴァンテ・ローズ
- ナターシャ・リオン
- ギャレット・ヘドランド
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
好きだった点
アンドラ・デイ(今作が初演技)の熱演ぶりが素晴らしいです。
「 黒人、女性、歌い手 」であるという立場ゆえ、激しい人種差別や不当な逮捕に遭ったビリー・ホリデイ。
この役を演じることが、どれだけ意味があり、使命をもたらすもなのかが伝わってきます。
唯一無二の歌声を持つ彼女の歌唱シーンは、気迫に満ちています。
お酒やドラッグに頼らざるを得なかった壮絶な幼少期の記憶や、女性差別や暴力にも触れており、辛い気持ちになります。
倒れても倒れても、またステージに立つ様子はまさに不屈の人。
音楽的にも、文化的にも、政治的にも、ジェンダー的にも、今の時代だからこそ見届けるべきだと感じました。
当局から脅しに屈せず、黒人リンチを告発する歌「 ストレンジ・フルーツ 」を歌うシーンは、切実に強烈に胸に迫ります。
不屈のスピリットで短い人生を力いっぱい生き抜いたビリー・ホリデイの魂が、浮かばれるような鬼気迫る演技でした。
考察ポイント
なぜアメリカの警察という巨大組織が、それほどまでにビリー・ホリデイを屈服させることに執着したのか。
その理由は、最愛の人ジミーが彼女をかばったように、彼女が黒人で、強く、美しく、逆境を跳ね返して成功したのが憎いからだというのは同意しました。
白人男性で占められる警察組織としては、自分たちと明らかに違う身体能力や得体のしれないパワーを持つ黒人たちは、
思うようにコントロールできないゆえに、恐怖と憎悪の対象だったのかもしれません。
とんでもなく不当ですが、人間はそうした残忍さや理不尽さを持つ生き物なのだろうと感じました。
これはアメリカだけの話ではなく、他の国でも同じ構図で繰り返されているのでしょう。
まとめ
黒人リンチを禁止する法律は、2020年代となった今も成立に至っていない、という解説を見て愕然とします。
辛いことばかり起こる人生を辿るので、重い気持ちにはなりますが、
歴史 – 現在 – 未来を – 続きで感じて、考えるために。