全米で2021年に公開された今作。
「 平凡な、ただの自伝だ 」と、批評家からの評判はよろしくなかった。
映画は胸が踊るような作品だから良いというものではない。
平凡の中にこそ、大切なものが隠れているのだと作品を通じて分かるはずだ。
画像の引用元:公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
僕を育ててくれたテンダー・バー
公開日
2022年1月7日
原題
The Tender Bar
上映時間
106分
キャスト
- ジョージ・クルーニー(監督)
- ベン・アフレック
- タイ・シェリダン
- リリー・レーブ
- クリストファー・ロイド
- マックス・マーティーニ
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
今作は、J・R・モーリンガーが2005年に発表した自伝「 The Tender Bar 」をもとに作られている。
幼少期、父親に恵まれなかった少年(J・R)が、母親の実家で暮らすことになった。
そこで出会った伯父(チャーリー)から、人生で最も大切なことを叩き込まれ成長していく物語だ。
父親不在でも少年が、母やチャーリー、大学で知り合う友人や初恋の人から影響を受け、独り立ちしていく姿はとても頼もしい。
今作は「 仕事 」が極めて重要なテーマになっている気もする。
J・Rは、自我を確立していく段階で、その後の生き方を決定づけるような人物チャーリーと出会った。
父親の代わりでは決してない。
それ以上の存在である彼の言葉「 お前は特別な何かを持ってる。作家になれる 」
その一言で将来の夢が決まったのだ。
それがどれだけ生きる支え、目標になっただろう。
チャーリーが働くバーで大人たちに囲まれながら、「 自分とは何者なのか 」という問いの答えを、ゆっくりと見つけ出していく過程の描写がよかった。
何かあれば寄りかかれる家以外の、こういう居場所の大切さをしみじみと感じる。
少しザラッとした映像の中に映し出される当時のアメリカの町並み、家、ファッション、車。
すべてがオシャレで不思議と懐かしさすら感じた。
俳優、脚本家、プロデューサーとして、数々の賞を受賞してきたジョージ・クルーニーが監督、主演はベン・アフレックだ。
ベン・アフレックとは、自身も監督と主演で参加した映画「 アルゴ 」以来の再タッグとなる。
余談だが、これまで筆者は、ベン・アフレック作品で特に何も感じることはなかったのだが、今作で初めて「 カッコいい!」とシビれてしまった。
それほど風変わりで、少し粗野だが、心の温かいチャーリーがハマリ役だった。
まとめ
父がなくとも子は育つ、そこにそれ以上の愛があれば。
原題より邦題のほうが好きだ。
「 僕を育ててくれた 」という言葉には、きっと、多くの感謝が込められてると思うから。