ロンドンで暮らす女性エロイーズに降りかかる悪夢と幻想、ソーホーという街で起きる一夜の事件。
ベイビー・ドライバーのエドガー・ライト監督最新作。
ジャンルミックス映画の傑作映画を取り上げます。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
ラストナイト・イン・ソーホー
公開日
2021年12月10日
原題
Last Night in Soho
上映時間
115分
キャスト
- エドガー・ライト(監督)
- アニヤ・テイラー=ジョイ
- トーマシン・マッケンジー
- マット・スミス
- ダイアナ・リグ
- シノーブ・カールセン
- マイケル・アジャオ
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
地元イギリスで低予算映画を製作し続けるエドガー・ライト監督。
小規模ながら公開すれば大ヒット、批評家からも高評価という特徴を聞くと、同じく地元でミニマムな作品を作り続けるシャマラン監督を想起します。
両者に共通するのは唯一無二の作風。
誰も真似できない独自の世界観と演出が魅力です。
エドガーの場合、ジャンルミックスと音楽の親和性の2つが拳げられるでしょう。
今作も彼の過去作同様、ジャンルを問われると難しい。
ホラーでもあり、同時にミュージカルでもある。
しかしながらヒューマンドラマもあり、コメディもある。
前半は80年代ホラーを彷彿される不気味な物語と演出が続きますが、最後は後味爽やかに幕が閉じる。
サイコホラーだったのか、甘酸っぱい青春劇だったのか?
このジャンル不特定感がエドガー作品の魅力です。
もうひとつの魅力は、音楽の親和性。
足音、ドアを閉じる音といった日常のサウンド全てがリズミカルに繋がれていきます。
キャラの動きも、まるでダンスのように音楽と調和していきます。
こうしたエドガー独特の演出手法は終始楽しい。
まるでライブを鑑賞しているような心地よさがあります。
一方、脚本には不備や粗があるし、ベイビードライバーと比べると一本調子感が薄く、見にくさが目立つ構造になっています。
グロ度が過去作に比べ格段に上がっているため、広く受け入れられにくい作風かもしれません。
まとめ
終盤で逮捕を覚悟した犯人が、燃える家の部屋でひとりベッドに座り、死を待つ光景。
不気味さと哀しさ、どこか美しさのある画で、鑑賞後に記憶の底に残り続けるカットでした。
なぜ、犯人は罪を犯さざるを得なかったのか?
という動機の面を知ったうえで本シーンを観ると、より感慨深さが押し寄せるのではないでしょうか。