「 ストックホルム・ケース 」考察レビュー、被害者が犯人を好きになってしまう現象、その名もストックホルム症候群!

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ストックホルム・ケース
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映画ライフ楽しんでますか?

今回は、ペンネーム @ジョナ さんからの投稿レビューです。

「 普通では考えられないが事実に基づく物語 」

それは、1973年にスウェーデンのストックホルムで実際に起こり、

「 ストックホルム症候群 」という言葉の由来となった銀行強盗事件を指します。

ストックホルム症候群とは、誘拐や監禁事件において、被害者が犯人を好きになってしまう現象。

果たしてそんなことがあり得るのでしょうか?

画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)

目次

ストックホルム・ケース

ストックホルム・ケース
©ストックホルム・ケース

公開日

2020年11月6日

原題

Stockholm

上映時間

92分

キャスト

  • ロバート・バッドロー(監督)
  • イーサン・ホーク
  • マーク・ストロング
  • ノオミ・ラパス

予告編

公式サイト

ストックホルム・ケース

作品評価

[rate title=”5つ星”]

[value 4]映像[/value]

[value 4]脚本[/value]

[value 4]キャスト[/value]

[value 5]音楽(BGM)[/value]

[value 3]リピート度[/value]

[value 1]グロ度[/value]

[value 4 end]総合評価[/value]

[/rate]

感想レビュー 

ストックホルム・ケース
©ストックホルム・ケース

好きだった点

主演2人の演技に見惚れてしまいました。

特に、イーサン・ホークが演じる、どこか憎めない銀行強盗ラース・二ストロムが、どんどん好きになりました。

アメリカかぶれのスウェーデン人という不安定な役柄「 イージー・ライダー(1969年) 」の影響をモロに受けた服装。

これから強盗をするという時に、入り口扉でおばあちゃんに当然のように順番を譲るという優しさを見せます。

強盗シーンでは、垣間見せる狂気と先の読めない行動から、

ダークナイト(2008年) 」でのジョーカーによる銀行強盗とまではいきませんが、まるでその場にいるような臨場感、緊張感が伝わってきました。

同時に「 陽気なギャングが地球を回す(2006年) 」の銀行強盗たちのようなコミカルさも感じられ、

人質たちとともに混乱し怯えながらも、どこか楽しんでいる自分がいることに気付きました。

そして、銀行員で人質となるビアンカ役のノオミ・ラパスの、これまでの作品とは対照的な演技をしていることに、嬉しさと新しい発見を覚えました。

ラパスといえば、スウェーデン版「 ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009年) 」のタフな女ヒーローであるリスベット役を演じ、見る者を虜にしてきましたが、

今作では真逆のキャラとして、保守的で穏やかな母親を演じています。

ラースとは好対照なオールドファッションで内気な彼女が、少しずつ開花しながら、ラースに惹かれていく過程が良かったです。

嫌いだった点

劇中の正義の味方が嫌いでした。

ここでいう正義の味方とは、弱者を守るべき立場にある(はずの)警察署長、パルメ首相です。

強硬派で、人命軽視のように見られる発言や行動が目立ち、むしろ犯人や人質たちに同情・共感してしまいました。

見どころ

俳優陣の演技も素晴らしかったのですが、今作の見どころは、「 見せ方 」にあると思います。

クレジット銀行を主とした、半世紀前の舞台のヴィジュアルの再現度の高さ、あえて古典的な演出で撮りつつ、心理ドラマとして引き立てている点も、今作の味を引き出すのに寄与しています。

そして、「 見せ方 」の影の功労者は、ボブ・ディランでしょう。

アメリカに憧れるラースが、作中で歌ったり(または人質に歌わせたり)、ラジオで流したり、作中BGMでも使われるのがディランの、ディランファンでもある監督の選曲が、なかなか憎い。

劇中に登場する曲は

「 新しい夜明け 」

「 今宵はきみと 」

「 明日は遠く 」

「 トゥ・ビー・アローン・ウィズ・ユー 」

エキセントリックで詩的な美しさを放つ名曲。

ディランの嗄れた艶のある歌声が、まるで犯人と人質たちが金庫室で過ごす時間を静かに鼓舞し、祝福しているようでした。

そういう意味で、ディランは今作の共犯者かつ功労者なのです。

考察・疑問点

見る前に懸念していたのは、クライムスリラーにはつきものなのですが、犯罪が美化されてしまわないか?

作品に感化されて模倣犯が生まれやしないか?

というものです。

そうならないためには、見る側が、虚構と現実の区分けをきちんとすることが大事ですよね。

今作のモデルとなったのは「 ノルマルム広場銀行強盗事件 」

その事件が「 ザ・バンク・ドラマ 」として書かれ、ドキュメンタリーも作られています。

現実では立てこもりは6日間であり、今作ではその半分の3日間となっています。

やはり、実際の事件(現実)と今作(虚構)は別と考えることが良いでしょう。

スウェーデン人であるラパスも

「 その事件と金庫室で起こった話にはいくつかの噂があり、そこから生まれたストーリーは常に異なっていました 」

と話しています。

まとめ

ストックホルム・ケース
©ストックホルム・ケース

人質が犯人を好きになる、ストックホルム症候群。

今作では、そのケースは、どうやら本当のようです。

では、ストックホルムケースを体験した私自身が、同じ症状にかかったか、どうか?

ぜひ、ご自身の目と耳で体感してみて下さい。

ストックホルム・ケース

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