文・ライター:@小松糸
世界中で社会現象となった#MeToo運動の裏側に迫る実話。
様々な名作映画を手がけ、ハリウッドで「 神 」と呼ばれたプロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの性的暴行事件と、それを暴いた記者の物語。
SHE SAID シー・セッド その名を暴け
あらすじ
公開日
2023年1月13日
原題
She Said
上映時間
129分
キャスト
- マリア・シュラーダー(監督)
- キャリー・マリガン
- ゾーイ・カザン
- パトリシア・クラークソン
- アンドレ・ブラウアー
- ジェニファー・イーリー
- サマンサ・モートン
- アンジェラ・ヨー
- アシュレイ・ジャッド
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
終始嫌な気分になる作品だったけれど、これが実話っていうのがさらに嫌。
この作品のテーマになっているのは「 声をあげることの大切さ 」だと思った。
私も彼女たちほどではないけれど、男性に傷つけられた経験があり、その時は怖いという気持ちもあったが、自分が惨めに思えて誰にも言えなかった。
1年後に初めて大人に打ち明けたが、すぐに誰かに相談しなかったことを今でも後悔している。
彼女たちも家族や旦那にすら言えず、ずっと隠してきた。
その気持ちを考えると、心を壊したワインスタインの罪はかなり重たいと思う。
それを黙って泣き寝入りになるのは絶対ダメだし、許してはいけない。
この作品の大きな核になっている人物こそワインスタイン。
彼はさまざまな女性に対して、権力でセクハラをしていたが、彼は映画の中にほとんど出て来ず、実際に行ったであろうレイプなどの確信的なシーンもない。
これは監督の意向でそういった性的なシーンを全てカットしたそうだ。
電話などでの音声のみで出演するワインスタインだが、映画の中で流れるのは証拠となったワインスタインの実際に録音された音声。
報道や取材をメインにこの作品を作っていき、被害者の証言のみでワインスタインの悪事を暴いていく。
観ている側も映画が進むにつれて、事件の全貌が見えてくるような構成になっていたのがよかった。
この作品の監督、脚本、撮影、製作などは女性が行っており、スタッフ陣も男性と女性が半々くらいの割合だ。
制作総指揮は、俳優のブラッド・ピットが行なっているのも驚いた。
彼は被害にあった女優の1人グウィネス・パルトローの元恋人であり、当時ワインスタインに忠告をした経験があるという。
監督も「 女性が主導のチームが普通になる日が来ることを切望している 」と語っており、制作陣の並々ならぬ強い意志が感じられる一作だった。
まとめ
女性だから、男性だからなどを理由にするのは個人的にあまり好きではない。
しかし、女性が弱い立場にあり権力に怯えてしまうのは事実としてあると思う。
声をあげることの大切さと絶対に屈しない強さで、今よりももっと女性が社会に出て活躍するのが当たり前になったら、この作品が制作されたことに大きく意味を感じることができると思った。