映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム@小池太郎さんからの投稿レビューです。
急速に老いていくビーチ、そこに閉じ込められた家族、砂浜に隠された真実。
誰が何のために?
奇抜な設定と展開に引き込まれるスリラーファンタジー。
監督はヴィジット以降、進化と復活を遂げ続けているM・ナイト・シャマラン。
シャマランファン、通称シャマラニストの小池太郎が、今作の魅力をレビューしていきます。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
オールド
公開日
2021年8月27日
原題
OLD
上映時間
108分
キャスト
- M・ナイト・シャマラン(監督)
- ビッキー・クリープス
- アレックス・ウルフ
- トーマシン・マッケンジー
- ルーファス・シーウェル
- ケン・レオン
- ニキ・アムカ=バード
- アビー・リー・カーショウ
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
「 シックスセンス 」で一躍名を馳せたシャマラン監督。
しかし、エアベンダー以降、作家性と興行性に板挟みとなり、徐々にシャマラン色を薄めていきます。
監督としての評価が下火になっていく彼が、再び作家性を取り戻したのが「 ヴィジット 」。
低予算かつ小規模、舞台は家の中だけ、キャストも4人程度というミニマムさながら、その規模感を活かし実験的かつ独創的なシャマラン節を発揮しました。
そんな彼の最新作が、OLD(オールド)。
映画のほとんどがビーチで展開されます。
ただのビーチではないのです。
何故かこの場所だけ、急速に年齢を重ねてしまう、時間が素早く経過してゆくのです。
6歳の少女は数時間で11歳になり、20歳になり妊娠していきます。
少女の両親は急速に老い、皺が増え、老夫婦へ変わっていくのです。
この「 設定の奇抜さ 」もシャマラン的ですが、それ以上に独特なのが演出。
大事な場面を敢えて押し出さない。
その代わり、何でもない波打ち際や、なんてことない岩石を、怖く、緊張感たっぷりに映し出します。
異常なほど人の顔に寄るカメラアングル、そうかと思えば顔の一部しか映っていない会話シーン。
「 これぞシャマラン!」とファンは思わず膝を叩く演出です。
しかし、設定はファンタジックで奇抜ながら、そのなかで描かれるテーマはあくまで人間模様。
今作では「 家族 」が主題です。
離婚寸前の夫婦が、老いていくビーチのなかで、次第に心を寄せ合っていく。
老いることで価値観や考えが変わり、感情的な性格が薄れていき、冷静にパートナーと向き合えるようになるのです。
まとめ
最も印象的だったのが、ビーチへ向かう車の運転手が初登場するシーン。
この運転手、シャマラン監督が演じているのです。
つまり、監督自身が、さらに言えば原作者自身が、「 さあ、君たちキャラクターを今から物語の世界へ運ぶよ 」と言っているかのような場面です。
この場面を監督本人が演じる点に、彼の物語に対する覚悟、キャラクターの人生の責任は全て俺が背負うぜ!
という気迫を感じます。