1962年、台湾は独裁政権のもと、市民に相互監視と密告を強制していた。
ある日、女子高生のファンは目を覚ますと、誰もいない校舎にいた。
政府によって禁じられた本を読む「 読書会 」のメンバーの男子生徒ウェイに遭遇。
一緒に脱出を図る中で、学校で起きた政府による迫害事件の真相に迫っていく。
返校 言葉が消えた日

あらすじ
戒厳令下の台湾で暮らす女子高校生・ファンは、ある悩みを抱えていた。やがて彼女は、生活指導を担当する教師に悩みを打ち明けるうちに、恋心を抱くようになる。そんな中、学校で眠ってしまい誰もいない教室で目覚めた彼女は、校内で出会った後輩の男子と共に学校から脱出しようとする。
公開日
2021年7月30日
原題
Detention
上映時間
103分
キャスト
- ジョン・スー(監督)
- ワン・ジン
- ツォン・ジンファ
- フー・モンボー
- チョイ・シーワン
予告編
考察・感想レビュー

自由が許されない時代の台湾、ホワイトテロでのお話。
実話を基にして作られた作品なので、普通のホラーよりもかなり心抉られるような内容だった。
元々はホラーゲーム「 返校 」がリリースされており、私はそれで少しだけ予習していたのだが、だとしてもかなりショッキングだった。
本も映画も音楽も、表現の自由が許されない世界。
「 なんで読みたい本を読んではいけないんだ 」と生徒の一人が叫ぶシーンがあった。
今の私は好きな本も映画も自由に触れられているが、戦時中の日本も同じように自由が許されなかった時代もあったということ、
今のこの状況はとても幸せなことなんだというのが身に染みてわかった。
それから約60年が経過。
あの頃の不自由さを基に映画やゲームを作れるのは、ある意味今の台湾がとても多様化して、表現の自由が守られているということだと思う。
チャン先生と主人公のファンの掛け合いはとても和んだ。
懲罰や密告など、周りにいる人間すら信じられなくなるような世界で、先生と生徒の信頼関係。
2人はお互いを愛していた。
手紙のやりとりや、2人で歌を歌ったりなど、惹かれあいながら自由を求めて生きていく。
チャン先生は台湾の不自由さや、このホワイトテロ時代が終わった先の未来のことを、全てを見据えていた人だと思った。
こんな怖いもの見たら、メイキングでキャスト陣が和気あいあいと撮影してる映像も見たい。
血糊ベタベタにつけて笑いあっているところが見たい。
ゲームが先行しているからというものの、視点が全て主人公目線なので、一緒に学校脱出を目指すような気分になる。
愉快な舞台裏を想像しないと、一気に物語の中に引き込まれて気持ちが戻ってこなくなるような感覚に陥ってしまった。
軽度に気を抜くことが大切。
まとめ

集中しすぎると呼吸が浅くなってしまう。
とてもショッキングなシーンが多く、音楽も不気味で怖い。
いろんなシーンが頭にこびりついてなかなか離れなくて困る。
しかし、こんなことが約60年前に台湾で実際に起こっていたということを、決して忘れてはいけないと思った。