A24が送る、ベテラン灯台守と新人によるサイコホラー。
嵐によって島に閉じ込められた2人は、やがて真っ黒な闇に染まっていく。
ライトハウス

あらすじ
1890年代、ニューイングランドの孤島にやって来た2人の男たち。灯台守である彼らの仕事は、これから4週間にわたって2人だけで灯台と島の管理を行うことだった。ベテランと経験不足の若者が衝突を繰り返す中、嵐が島を襲う。
公開日
2021年7月9日
原題
The Lighthouse
上映時間
109分(R15指定)
キャスト
- ロバート・エガース(監督)
- ロバート・パティンソン
- ウィレム・デフォー
考察・感想レビュー

A24史上最も狂っていると噂の本作。
現代サイコホラー最高峰ではないかと思ってしまうほどに狂い・美しかった。
本作は正方形でモノクロ。
この手法が、作品に閉塞感を作り出していた。
登場人物は2人のみ。
ベテラン灯台守のトーマスと、新人のイーフレイム。
島を直撃した嵐により、島に取り残されてしまった2人。
そんな危機的状況なのに、2人は恐ろしく仲が悪い。
地獄のような時間の中で、2人はやがて想像を絶する結末へと走り出す。
劇中の「 カモメ 」は、かなり重要な生き物だ。
トーマス曰く、海鳥には死んだ船乗りの魂が宿っているらしい。
だからイジメたり、殺したりしてはいけないと言う。
しかし、イーフレイムはその約束を破ってしまう。
カモメは人間の言葉を話せない。
意思疎通ができず、ただ空を飛び回り鳴くカモメにとても恐怖を感じてしまった。
トーマスがその約束を破ってから、文字通り風向きが変わり始める。
嵐が到来し、物語の風向きが変わる。
サイコホラーはある種、美しさの部分も兼ね備える必要がある。
という私なりの持論がある。
それらのバランスが絶妙に絡んでいるのは、スタンリー・キューブリックの作品群だ。
本作は、キューブリック作品ぽさを少し感じる瞬間があった。
音、表情、そして状況。
全てがアンバランスで、でも美しく、耳を塞ぎたくなるほどの不協和音。
こんな作品がとても好きだ。
劇中の人魚は、人によって解釈が異なると思った。
2人しかいない男同士の生活の中で、人魚という存在はある意味、現実逃避のような錯覚を起こす。
「 前回の相棒は人魚の幻覚を見て狂って死んだ 」
とトーマスが言うように、人を狂わせ、快楽の海に沈める邪悪な存在。
本当に狂っていたのは、果たしてトーマスかイーフレイムか。
まとめ

本作は実話がベースだ。
灯台守の手記をもとに製作され、こんな過酷な出来事が実際に起きたのかと考えたらゾッとする。
あまりにも衝撃が強かったので、舞台裏のレポートを読んでいたら、キャスト2人に絡むのは、訓練されたカモメだ。
名前は「 レディー 」 「 トランプ 」「 ジョニー 」というらしい。
空を飛びかうカモメは、島付近に生息している野生のカモメ。
劇中で怖い存在として感じたカモメに、名前があったなんて少し愛着を感じた。