今回は映画史上で重要な作品も少なくない、ジェームズ・キャメロンのフィルモグラフィーを振り返っていきたい。
ジェームズ・キャメロンとは
1954年、カナダ・オンタリオ州出身。
1971年に家族でアメリカ・ロサンゼルスに移住する。
大学卒業後、” B級映画の帝王 “ロジャー・コーマンのスタジオ入りをして経験を積み、1981年に「 殺人魚フライングキラー 」で映画監督デビューを果たす。
続く「 ターミネーター 」(1984)が大ヒットし、主演のアーノルド・シュワルツェネッガーを世界的なアクションスターの地位に押し上げた。
また、同作はシリーズ化され、公開から40年以上経過した現在も続編、スピンオフが制作され続ける一大フランチャイズになっている。
その後もコンスタントに監督作を発表し続け、1997年に満を持して発表した「 タイタニック 」が興行、批評の両面で大成功を収める。
同作でキャメロンはアカデミー賞監督の称号も獲得している。
しかしそれ以降、2本のドキュメンタリー映画を発表するも制作ペースは大幅に鈍化し、「 タイタニック 」以降に手掛けたフィクション作品は「 アバター 」シリーズのわずか2本に留まる。
原爆を題材とした「 Last Train from Hiroshima 」に興味を示しているが、「 アバター 」シリーズの残り(5部作の構想)も自身で監督する意向を示しており、いつ着手できるかは未定の状態である。
ジェームズ・キャメロン作品一覧
ジェームズ・キャメロンの監督作品は以下の通り。
- 殺人魚フライングキラー(1981)
- ターミネーター(1984)
- エイリアン2(1986)
- アビス(1989)
- ターミネーター2(1991)
- トゥルーライズ(1994)
- タイタニック(1997)
- アバター(2009)
- アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022)
殺人魚フライングキラー(1981)
原題(英題)
Piranha II Flying Killers
公開日
1982年10月23日
上映時間
84分
キャスト
- トリシア・オニール
- スティーブ・マラチャック
- ランス・ヘンリクセン
- リッキー・G・ポール
- テッド・リチャート
- アンシル・グロードン
- レスリー・グレーヴス
コメント
記念すべき巨匠ジェームズ・キャメロンの初監督作。
空飛ぶ殺人魚が人間を襲う、煽情的なB級作品である。
原題の「 Piranha II 」から推測のつく通り続編だが、シリーズ1作目である「 ピラニア 」(1978)と物語に連続性はなく、共通するキャラクターも登場しない。
「 B級映画の帝王 」と呼ばれたロジャー・コーマンの門下生らしいデビュー作である。
1作目の「 ピラニア 」を監督したジョー・ダンテものちにA級監督の仲間入りを果たしており、代表作の「 グレムリン 」(1984)は世界的な大ヒット作になった。
コーマンの門下からは、彼ら以外にも多くのスター俳優、有名監督が巣立っている。
のちに制作費1億ドルを超える映画を何本も手掛けることになるキャメロンだが、本作の制作費はわずか14万ドルに過ぎない。
小規模作品が対象になるインディペンデント・スピリット賞の規定が「 制作費3千万ドル以下 」であることを考えると、商業映画としては破格の安さである。
制作費の安さ故かチープ感はどうしても否めず、場の作り込みが甘いのか、映る範囲を極力狭くした画が多い。
それでも、キリッとした画面構成やテンポのよい編集、流麗なカメラワークなど才能の片鱗は存分に見せている。
本作のメインキャストの一人、ランス・ヘンリクセンはのちにキャメロン組の常連になる。
ターミネーター(1984)
原題(英題)
The Terminator
公開日
1985年5月25日
上映時間
108分
キャスト
- アーノルド・シュワルツェネッガー
- マイケル・ビーン
- リンダ・ハミルトン
- ポール・ウィンフィールド
- ランス・ヘンリクセン
コメント
ジェームズ・キャメロンの出世作。
今や映画ファンにはお馴染みとなった、戦闘サイボーグ「 ターミネーター 」の登場するSF映画の名作である。
未来から主人公を殺しに来たターミネーターと、同じく未来から主人公を救いに来た戦士が、圧倒的に戦闘力に優れるターミネーターの追撃をかわしながら戦うシンプルな筋立てで、108分のコンパクトな上映時間にテンポよく収まっている。
のちに超大作を何本も手掛けるキャメロンだが、「 殺人魚フライングキラー 」よりは上とはいえ、本作も制作費は640万ドルに過ぎず、以降の作品に比べるとスケール感は落ちる。
キャメロンは基本的にエンタメの人だが、本作はシンプルな筋立てを無駄なく最後まで運ぶ絶妙なストーリーテリングを見せている。
大ヒット作になり、製作費の10倍を超える興行収入を稼いだ。
本作のターミネーターはアクションスター、アーノルド・シュワルツェネッガーにとっても最大の当たり役になり、その後幾度となくターミネーターを演じることになる。
同じく、本作で主人公として登場したサラ・コナーは以降のシリーズで女戦士として登場するようになり、リンダ・ハミルトンも数度にわたって同役を演じることになる。
彼女とキャメロンはのちに結婚するも、わずか2年で離婚している。