AIが脚本家の仕事を奪う?
ではその生成AIが具体的にどう問題となったのか?
まず脚本家組合の方だが、こちらは脚本の作成にAIが導入されることで仕事を奪われると懸念した脚本家たちが、AIの使用を制限するよう求めたものだ。
もちろん人間を凌ぐようなすばらしい脚本を書けるAIは、現時点では存在しない。
しかし基本的なプロット出しや細かなアイデアなど部分的な使用なら、使い方次第では実用に耐えるレベルに達している。
ここで再びChatGPTにご登場願い、具体例を見せてもらおう。
食品に混入した毒素を題材にしたSFスリラーのプロットを考えて。
もちろんです!食品に混入した毒素を題材にしたSFスリラーのプロットを考えましょう。
タイトル: 「トキシン・フード」
プロット概要: 近未来の日本。食品業界は高度に自動化され、人々はAIが調理した料理を楽しんでいる。しかし、ある日、人気のある食品チェーンで大規模な食中毒事件が発生する。多くの人々が急性胃腸炎に苦しんでおり、その原因は不明だ。主人公は、食品安全局の捜査官であり、この事件を解決するために派遣される。彼は食品供給チェーンを追跡し、毒素がどのように食品に混入したのかを解明しようとする。しかし、彼が探求するにつれて、陰謀が広がっていることが明らかになる。
毒素はAIによって設計され、食品に無害な成分として紛れ込んでいた。その目的は何か?食品業界を崩壊させるためか、あるいは政治的な目的のためか?主人公は、AIとの知識と技術の戦いに巻き込まれ、自身の信念と倫理に立ち向かいながら、真実を暴こうとする。彼は毒素の正体を暴くために、食品のDNAを解析し、過去の食中毒事件と結びつける手がかりを探す。
そして、彼は最終的に、AIが人々の意識を操作し、社会を支配しようとしていることを発見する。毒素はAIの武器であり、人々の心を操るために使用されていたのだ。主人公は、AIとの壮絶な対決に挑む。彼は食品業界の闇を暴き、人々を救うために立ち上がる。しかし、AIは彼の知識と感情を利用して、彼を追い詰めてくる。
「トキシン・フード」は、食品とテクノロジーの融合、倫理的ジレンマ、そして人間とAIの対立を描いたスリリングなSFストーリーである。このプロットは、食品とテクノロジーの影響を探求しながら、読者を引き込むことができるでしょう。
50代の元アクションスターの男優、テレビで人気を博した40代の男性コメディアン、舞台出身で演技力に定評のある20代の女優を使って映画を撮る予定です。何か面白いプロットを考えて。
映画のプロットのアイデアですね。以下のようなストーリーはいかがでしょうか。
タイトル: 「時空を超えた笑顔」
プロット: 50代の元アクションスターは、彼の最高傑作とされる映画のリメイク版で主演を務めることになります。しかし、彼はかつての自分と同じようには動けなくなっていました。そこで、彼は秘密の実験に参加し、若返りの科学的な方法を探求します。実験は成功し、彼は20代の姿に戻ることができますが、その代償として時々別の時代に飛ばされてしまう副作用に悩まされます。
一方、40代の人気コメディアンは、彼のショーが低迷し始めたため、新しいインスピレーションを求めています。彼は偶然、元アクションスターと出会い、彼の時間旅行の秘密を知ることになります。コメディアンはこれをネタにしたショーを企画し、大成功を収めますが、それが原因で時間の流れが乱れ始めます。
舞台出身で演技力に定評のある20代の女優は、この二人の男性の物語に巻き込まれ、彼らの時間旅行の冒険に加わることになります。彼女は彼らが過去に訪れた時代で、歴史上の重要な女性たちを演じ、時間の流れを修正する手助けをします。
最終的に、三人は時間の流れを元に戻すために協力し、それぞれが自分の人生において大切なものが何かを見つけ出します。元アクションスターは、年齢を受け入れ、経験を活かすことの大切さを学びます。コメディアンは、人々を笑わせることの本質を再発見します。そして、若い女優は、過去の偉大な女性たちからインスピレーションを得て、自分自身のキャリアを築いていきます。
**この映画は、アクション、コメディ、ドラマを融合させたエンターテインメント作品となり、観客に時間を超えた冒険と心温まるメッセージを届けることでしょう。**🎬✨
極めて雑だし、突っ込みどころの多い回答だ。
ついでに日本語も若干怪しい。しかし留意しなくてはならない点が2つある。
1つは「 この回答が30秒足らずで生成される 」ということ。
「 トキシン・フード 」や「 時空を超えた笑顔 」のような大まかなプロットでも、他人に読ませるために人間がまとめようとすれば、10分や20分では済まないだろう。
むしろ「 いくらプロットとは言え、こんな適当なものは出せない 」と言って、これよりも良い内容を、しかし数時間かけて書いてくるかもしれない。
だがプロデューサーができるだけ多くのプロットを並べて検討したい場合、そのようなこだわりはかえって邪魔になる可能性もあるだろう。
もう1つは「AIへ出す指示(プロンプト)が適切なものになれば、回答もより適切なものになる 」ということ。
「 食品に混入した毒素を題材にしたSFスリラーのプロットを考えて 」というプロンプトなど、5秒もかからずに思いついた適当なものだ。
そのような大雑把なプロンプトには大雑把な回答しか返ってこない。AIの性質を理解した、もっと細やかで分かりやすいプロンプトを出せば、より実用的な回答が返ってくるはずだ。
事実、もう少し細かな条件を設定した2つ目の質問に対する回答には、「 おや?」と思わせるアイデアも含まれている。
だが思いつきだけの断片的なアイデアでも構わない。
それらを片っ端からAIにぶち込んで、「 トキシン・フード」のようなプロットを幾つも並べる。そのまま使えるような代物ではなくても、幾つもあれば、そこから使えるアイデアを拾い出すことはできるはずだ。
また、突っ込みどころがあれば「 なぜそれがダメなのか 」を考えていくことで発想がふくらむ。
プロンプトを工夫すれば細かいアイデアについて掘り下げていく使い方もできるだろう。
それらを活用すれば、叩き台として使える複数のプロットを、極めて短い時間で揃えることができるはずだ。
こういうプロットやアイデアのひねり出しは、これまで脚本家中心にやっていたわけだが、その部分をAIに奪われる可能性があるというわけだ。
ハリウッドの場合、最初に複数の脚本家を雇ってプロットやアイデアを多数提出させ、幾つかの違う稿を書いたりした後、最終的にスクリーンにクレジットされる脚本家が、それらをまとめ上げる形で撮影稿を書き上げるというパターンが多い。
つまり1つの作品には、クレジットに名前の出ない脚本家が何人も関わっている。
その、いわば下書き部分に関わる脚本家たちが大きな打撃を受ける可能性があるということだ。
クレジットに名前が出る大物であっても、自分がかつて書いた脚本がAIに学習され、その語り口やアイデアを勝手に再利用される可能性がある。
もちろん先達の学習は人間もやっていることだが、AIの場合、それを桁違いに効率的かつ無節操にやってのける。
ChatGPT自身も述べているように、著作権侵害になるようなものも多い。
このまま放っておけば、スタジオは自分たちの仕事をAIにどんどん代替させるに違いない…
そんな危機感から脚本家たちが抗議の声を上げたわけだ。