今と昔の映画館の違いは何か?毎回入替するのが当たり前だった時代【 体験談① 】

当ページの画像はIMDbまたは公式サイトより引用
  • URLをコピーしました!

昔の映画館とシネマコンプレックス(シネコン)がスタンダードとなった現在…そこにはさまざまな違いがある。

さらに言えばシネコンでも、フイルム上映の時代とデジタル上映の時代で違いがある。

長く映画ファンをやっているので、そんな映画館今昔の違いについて、折に触れてポチポチ話していきたい。

なお、自分の体験をもとに語るので、具体例としては、東京および生まれ故郷である静岡市の映画館の話が主体になる。

ただし個別の映画館の話はしても、できるだけ普遍的な話題にするよう心がけるので、ご容赦願いたい。

第1回は、映画館の全席指定 / 完全入替制について。

目次

シネコンとは何か?1日中劇場にいる猛者もいた時代

「 シネコンとは何か 」については幾つかの定義があるが、その中の1つに「 全席指定 / 完全入替制 」というものがある。

ひょっとすると今の十代の若者は何を言っているのか分からないかもしれない。

「 映画館は毎回入替するのが当たり前じゃないの?」

いや、昔は当たり前ではなかったのだ。

好きな時に入って、好きなだけいて、好きなときに帰る…だからこそ、居眠りしにくる人もいたし、とりあえず居眠りしても次の上映回でちゃんと見る人もいたり…映画館とはそんな自由でのんきな場所だったのだ。

中には、朝から晩まで一日中映画館で過ごす猛者もいた。

もちろん1枚の入場チケットによってだ。

単なる映画狂、真剣に映画を勉強している学生、他に居場所がない人…それぞれにいろいろな事情があったのだろう。

私はそこまではやらなかったが、子どもの頃、お弁当と水筒を持ちこんで2本立て3本立てを見たり、同じ映画を繰り返し見たことはある。

まあ似たようなものか…(笑)

名画座でさえ入替制になってしまった今の東京では、ほぼありえない光景だ。

映画館での立ち見はごく当たり前の光景だった

入替でも指定席でもないルーズな場所だったので、ヒット作になれば「 立ち見 」が出た。

「 全席指定 / 完全入替制 」では当然出るはずもない「 立ち見 」だ。

昔は消防法による定員が存在しなかったのか、あるいは存在したが暗黙の了解で見逃されていたのか、調べたが明確な答えは見つからない。

少なくとも、新しい法律が施行されて、ある時期から一斉に立ち見禁止になったということはないはずだ。

シネコンの普及、すなわち全席指定 / 完全入替制が広まるのに伴い、21世紀に入る頃から自然消滅していったという印象だ。

つまり、昭和の話ではなく平成に入ってからも立ち見は普通にあった。

1997年に公開された大ヒット作「 もののけ姫 」や「 タイタニック 」の頃にはまだ当たり前にあったということだ。

全席指定はシネコンから始まった

映画館の「 全席指定 」は、多少の例外はあるかもしれないが、基本的にシネコンから始まったものだ。

入替制は岩波ホールがいち早く採用していたが、あそこも指定席ではなかったはずだ。

指定席にするとなると、大きな劇場ではコンピューター管理が、小さな劇場でも毎回毎回紙の座席表に赤をつけていくような工夫が必要になる。

2本立てを守りながらコロナを機に全席指定にした早稲田松竹は現在この方式だ。

コンピューターによる管理システムが低コストで導入できるようになるまで、どこも好きこのんで面倒なことはやりたくなかったのだろう。

なおワーナーマイカルは最初の頃は席を選べず、勝手に向こうで決めた席を押しつけられたものだ。

そして早く行って席を購入すると、一番後ろの席になった。スクリーンにもよるが、私のように真ん中より少し前めの席を好む人間には迷惑な話だった。

いつから自由に選べるようになったのか正確にはわからないが、2000年代の半ば頃までそんな感じだったのでは。

これも多分コンピューターの管理システムが発達し、フレキシブルな対応が可能になったのと関係がありそうだ。

ただし昔の映画館と比較すると、シネコンのほとんどのスクリーンは後ろでも見やすく、前の人の頭で邪魔になるようなこともなかったので、席を選べなくてもそこまで絶対的な不満とはならなかった。

全席指定 / 入替制で変わったもの

上記のように場所を選べなかった頃はもちろんだが、初めて行く劇場の場合、どの辺の席が良いのか分からない。

昔は実際に入ってから「 この辺がいい 」と座ることができたし、後で席を替わることもできた。

だが事前に指定席を購入するとなると、そうもいかない。

だから初めて入るスクリーンでチケットを買うときは結構悩む。

そして現在、私のiPhoneのメモには、一度でも入ったことのあるスクリーンのベストポジションが全て記録されている。

たとえば、

スクリーン5(213席)、E or F 10〜12番。

スクリーンは小さめなのでEの方がベター…のような感じだ。

一度記録しておけば、次から悩まずに予約できるし、その後何か気になることがあれば、そのたびにデータをアップデートしていく感じだ。

ネット予約ができるようになってさらに便利に

以前は自分の好きな席を取るために、時には1時間以上前から劇場に行ったりしたわけだが、ネット予約が普及してからは、その必要がなくなり、時間を有効活用できるようになったのは大変ありがたい。

ただしこれによって、良い席を取るのであれば、2日前の発売日にチケットを取るのが当たり前になった。

そのためスケジュールの融通が利かなくなったというデメリットもある。

当日に仕事で行けなくなったことは何度もあるし、別の用事を入れたくなっても入れられないし、天気や体調が少しくらい悪くても行かざるをえない。

何だか観賞が義務になったような感じだ。

なお立川のシネマシティは、予約しても上映の20分前までならキャンセル可能という太っ腹なシステムを採用していて、これに何度も助けられている。

他のシネコンもそうなってくれるといいのだが、まあ無理だろう。

それでも懐かしくなる昔の映画館の自由さ

映画を見る環境として、どちらが良いかと言えば、もちろん今の方がいいだろう。

今、いきなり昔のルーズな映画館にタイムスリップしたら、上映環境やマナーの悪さに発狂するかもしれない。

それでも時々懐かしくなるのだ。

入替無しの自由席で、その気になれば何時間でも居座ることができた昔の映画館が。

映画を見るのもさることながら、とにかく外界の嫌なことから離れ、自分だけの孤独な世界で心を安らげることができる環境…

そういう点においては、実に不思議なことに、システマティックなシネコンよりも、昔の映画館の方が優れていたのだ。

なお、全席指定 / 完全入替制の問題は、「 映画の2本立て興行 」「 映画をきちんと開始時間から見る 」といった話とも密接に関係しているのだが、

これらはさらに別の話題とも絡んでくるので、次回以降に書いてみようと思う。

執筆者

文・ライター:ぼのぼの

あわせて読みたい
かつての映画館は途中入場・退出が当たり前だった?【 体験談② 】 【かつての映画館は途中入場 / 途中退出は当たり前】 前回の記事では、かつての映画館が「入替無し / 自由席」であり、それがシネコンの普及と共に「 全席指定 / 完全入...

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

この記事をシェア
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次