【 完全網羅 】フランク・ダラボン監督映画作品まとめ

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今回は、寡作ながらも映画史に名を刻む、フランク・ダラボン監督作品をまとめていく。

目次

フランク・ダラボンについて

ハンガリー出身の両親のもと、フランスのモンベリアールで生まれ、少年時代に移住したアメリカ・シカゴで育つ。

学生時代に、世界的なベストセラー作家であるスティーヴン・キングの

「 ダラー・ベイビー(学生向けに1ドルで次作の映画化権を売却する企画) 」で、

同氏の短編小説「 312号室の女 」を原作に短編映画を製作。

同原作者による「 ショーシャンクの空に 」(1994)で長編映画監督デビューし、

同作が公開後に粘り強く評価を上げ続け、その名を知られるようになる。

さらに、同原作者による「 グリーンマイル 」(1999)の映画化も手掛け、興行・批評の両面で成功を収める。

その後、オリジナル脚本の「 マジェスティック 」(2001)、またしてもキング原作の「 ミスト 」(2007)を発表するが、

2024年末現在、映画監督としてのフィルモグラフィーは以上の4本のみ。

以降、映像演出家としては「 ザ・シールド ルール無用の警察バッジ 」、「 ウォーキング・デッド 」などの

テレビシリーズで一部エピソードの監督を担当したに留まる。

メインクリエイターを務めた歴史ギャングドラマ「 Mob City 」で4エピソードを監督したのを最後に

監督作が途絶えていたが、「 ストレンジャー・シングス 未知の世界 」の第5シーズンで監督に復帰している。

ダラボンが担当した第5シーズンの配信開始は、2025年の予定で実に12年ぶりの監督復帰となる。

半引退状態となっていたダラボンだが、今回の復帰が本格的なものになるかは不透明であり、

本人も今後について「 どうなるか分からない 」と明言を避けている。

今回は、寡作ながらも優れた作品を発表してきた彼のフィルモグラフィーを振り返っていきたい。

フランク・ダラボン作品一覧

ダラボンの全作品は以下の通り。

  • ショーシャンクの空に(1994)
  • グリーンマイル(1999)
  • マジェスティック(2001)
  • ミスト(2007)

ショーシャンクの空に(1994)

©The Shawshank Redemption

原題(英題)

The Shawshank Redemption

公開日

1995年6月3日(日本初公開)

上映時間

142分

キャスト

  • ティム・ロビンス
  • モーガン・フリーマン
  • ボブ・ガントン
  • ウィリアム・サドラー
  • クランシー・ブラウン
  • ギル・ベローズ
  • ジェームズ・ホイットモア
  • デビッド・プローバル

コメント

ダラボンのキャリアにおける、記念すべき最初の長編監督作にして彼の代表作。

スティーヴン・キングの中編小説「 刑務所のリタ・ヘイワース 」を原作としている。

” モダンホラーの帝王 “と呼ばれるキングの作品にはめずらしい非ホラー作品で、

劇中の出来事の大半が刑務所の中を舞台としており、登場人物のほとんどが男性。

冤罪によって投獄された有能な銀行員が、刑務所内の人間関係を通して、

腐敗した刑務所の中でも希望を捨てず生き抜いていく姿を描いた王道のヒューマンドラマで、

ダラボンの正攻法な脚色と演出が光る。

多作なキングは映像化作品も多いが、非ホラー作品の映像化としては

「 スタンド・バイ・ミー 」(1986)と双璧を為す存在である。

劇場公開時、興行成績は振るわなかったが批評家からは高く評価され、アカデミー賞で7部門にノミネートされた。

無冠に終わったが、ダラボン自身も脚色賞の候補になっている。

もう一人の主人公であり、語り手であるレッドを演じたモーガン・フリーマンは、

出演者で唯一アカデミー賞の候補になったが、原作のレッドは赤毛のアイルランド系で白人のため、

黒人のモーガン・フリーマンとは似ても似つかない。

「 アイルランド系だ 」と映画本編でも原作の台詞がそのまま残されているが、

謎かけとも冗談ともとれる不思議な表現になっている。

フリーマンの美しいバリトンボイスのナレーションは本作の魅力の一つになっている。

公開後、レンタルビデオやケーブルテレビの放送で人気を博し、

現在ではオールタイムベスト企画で頻繁に名前の挙がる歴史的名作として評価されている。

グリーンマイル(1999)

©The Green Mile

原題(英題)

The Green Mile

公開日

2000年3月25日

上映時間

188分

キャスト

  • トム・ハンクス
  • デビッド・モース
  • ボニー・ハント
  • マイケル・クラーク・ダンカン
  • ジェームズ・クロムウェル
  • マイケル・ジェッター
  • グレアム・グリーン
  • ダグ・ハッチソン
  • サム・ロックウェル
  • バリー・ペッパー
  • ジェフリー・デマン
  • パトリシア・クラークソン
  • ハリー・ディーン・スタントン
  • ウィリアム・サドラー
  • ゲイリー・シニーズ

コメント

長編監督デビュー作の「 ショーシャンクの空に 」に続き、こちらもスティーヴン・キングの小説を原作としている。

こちらもキングにはめずらしいホラーではなくファンタジー作品だが、「 ショーシャンクの空に 」と同じく、

結末はヒューマンドラマに着地する作りになっている。

2作続けて主な舞台は刑務所だが、ファンタジーの要素を含むため、風合いはかなり異なる。

ダラボンは変わらず正攻法な脚色と演出で手堅くまとめ上げている。

142分と平均的な上映時間だった「 ショーシャンクの空に 」に対して、

こちらは3時間超えの188分にもおよぶ長尺作品である。

長い映画は興行的な理由から企画が通りにくいが、人気作家のベストセラー原作で、主演が大物俳優のトム・ハンクス。

監督のダラボンに既に「 ショーシャンクの空に 」の実績があったのは、

企画を通す上で重要なファクターになったことだろう。

制作費6,000万ドル(約90億円)の超大作だが、製作費の4倍を超える興行収入を稼ぐ大ヒット作になった。

批評的にも成功し、無冠に終わったもののアカデミー賞で作品賞を含む4部門の候補になった。

ダラボン自身も2度目の脚色賞候補になっている。

マジェスティック(2001)

©The Majestic

原題(英題)

The Majestic

公開日

2007年6月22日

上映時間

153分

キャスト

  • ジム・キャリー
  • ボブ・バラバン
  • ブレント・ブリスコー
  • ジェフリー・デマン
  • アマンダ・デトマー
  • アレン・ガーフィールド
  • ハル・ホルブルック
  • ローリー・ホールデン
  • マーティン・ランドー
  • ロン・リフキン
  • デビッド・オグデン・スティアーズ
  • ジェームズ・ホイットモア
  • ブライアン・ホウ
  • チェルシー・ロス

コメント

監督3作目にして初の、原作のないオリジナル脚本の作品。

脚本兼任だったダラボンだが、本作で初めて監督に専念している。

「 ショーシャンクの空に 」「 グリーンマイル 」で共通した舞台だった刑務所から離れ、

小さなアメリカの田舎町を舞台としている。

「 ショーシャンクの空に 」は登場人物の大半が男性、

「 グリーンマイル 」は主人公が既婚者で、主人公の妻以外の登場人物が大半男性だったが、

本作は男女両方のキャラクターが出てくるためめずらししくロマンス要素がある。

記憶を失った男が、小さな町の映画館を再興させるハートウォーミングなドラマとして始まるが、時代は1950年代。

ジョセフ・マッカーシー議員による赤狩り(共産主義狩り)が猛威を振るった時代であり、

徐々に赤狩りが物語に暗い影を落としはじめる。

前半と後半が全く異なる物語でありちぐはぐな印象を受ける。

硬派なドラマ作品として手堅く仕上がりそうな題材なだけに残念である。

ダラボンは寡作な監督であるため、比較対象そのものが少ないが、彼の監督作でよくも悪くも異彩を放つ作品である。

脚本を手掛けたマイケル・スローンはダラボンの高校時代からの友人で、

ダラボンがメインクリエイターを務めたテレビシリーズ「 Mob City 」でも組んでいる。

ミスト(2007)

©The Mist

原題(英題)

The Mist

公開日

2008年5月10日

上映時間

125分

キャスト

  • トーマス・ジェーン
  • マーシャ・ゲイ・ハーデン
  • ローリー・ホールデン
  • アンドレ・ブラウアー
  • トビー・ジョーンズ
  • ウィリアム・サドラー
  • アレクサ・ダバロス
  • ネイサン・ギャンブル
  • クリス・オーウェン
  • サム・ウィットワー
  • ロバート・C・トレベイラー
  • デビッド・ジェンセン
  • ケリー・コリンズ・リンツ

コメント

初心に戻ったわけではないだろうが、オリジナル脚本だった「 マジェスティック 」から、

またしてもスティーヴン・キング原作である。

正統派のヒューマンドラマだった「 ショーシャンクの空に 」、

ファンタジー要素を含むヒューマンドラマだった「 グリーンマイル 」に対して、

本作はいかにもキングらしいホラー作品である。

タイトルの「 ミスト 」=「 霧 」の通り、霧に包まれた町が舞台。

深い霧に包まれた町で巻き起こる怪異と、徐々に秩序を失う人々が描かれる。

町の住人たちを霧から現れた怪物が襲うホラーであり、極限状況でのサバイバルを描いたサスペンスでもある。

のちにダラボンが製作総指揮を務めた「 ウォーキング・デッド 」にも通じるものがある。

同じ原作者でもヒューマンドラマだった前2作品と内容は大きく異なるが、

本作でもダラボンの脚色、演出は正攻法で素材を手堅く仕上げている。

スター俳優の出演がなく、群像劇的な要素が強い。

人物よりも「 怪物に襲われるというシチュエーション 」そのものが主人公といった印象である。

賞レースで評価されづらいタイプの作品であるためか、アカデミー賞とは無縁だった。

2024年末の現時点で、ダラボンが最後に監督した映画となっている。

執筆者

文・ライター:ニコ・トスカーニ

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