キング・オブ・ロックンロールは今も尚、エルヴィスしかいない。
エルヴィス・プレスリーが放つ輝き煌びやかさは、バズ・ラーマンだからこそ再現できた。
ロックやポップは、古来からの伝統的な音楽が融合することで成立している。
その原初を時代を超えて垣間見ることができる。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
エルヴィス
公開日
2022年7月1日
原題
Elvis
上映時間
159分
キャスト
- バズ・ラーマン(監督)
- オースティン・バトラー
- トム・ハンクス
- リチャード・ロクスバーグ
- ヘレン・トムソン
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
キング・オブ・ロックンロール → エルヴィス・プレスリー。
キング・オブ・ポプ → マイケル・ジャクソン。
彼等のスターティングから死までの軌跡は、あまりに類似していないだろうか?
私事ながら、僕のROCKに対するスターティングはエルヴィス・プレスリーなんだと。
何故なら、亡き母が愛して止まなかったエルヴィスの曲は、きっと胎児の頃から聴かされていた。
物心が付くまで、家で流れていた音楽はクラシック2割、ジャズ2割、エルヴィス5割、他1割というバランス。
子供心に衝撃的な印象は、1977年8月16日に家族で避暑地旅行に向かう車中で母は突然号泣。
それはエルヴィス・プレスリー死去のニュースであった。
時が流れ、母が他界した際の通夜と葬儀用で流す曲をCDで編集作成した。
その内容はクラシック2割、ジャズ2割、エルヴィス5割、他1割のバランスで構成した。
流石にエルヴィスのロックンロールを流す訳にはいかないので、僕の保有するエルヴィスのゴスペル集から抜粋した。
そんな思いから、生粋のエルヴィスのファンでなく、「 プレスリー 」という名前と、太いモミアゲとふくよかな体型、高襟にフリンジビラビラのジャンプスーツ程度が印象に残る日本人。
エルヴィスの音楽のルーツが、カントリー・ロックからの異種派生程度に思われてるけれど、本質的には敬虔なクリスチャンゆえの賛美歌の朗々とした歌唱。
少年期に影響を受けた黒人ミュージックの原初たるゴスペルによると映画「 エルヴィス 」で、日本人は改めて知ることになるだろう。
今作は単なる伝説的スターの伝記作品ではなく、音楽の進化の初期過程を知らしめている。
エルヴィスの楽曲や歌唱法や演出のどれもが、ビートルズやローリングストーンズやクイーンやマイケル・ジャクソンと、多くの時代をこじ開け切り開いたミュージシャンたちのスターティングだったと気付かされる。
映画で描かれる、倫理を振りかざし操作した世論で迫害をしかける社会と人々。
ショービジネス業界の新しいモノ好きと定番繰返しの安定(風化)を求める業界ジレンマ。
後期エルヴィスも何故に今でも愛されるのか?
それは「 ボヘミアン・ラプソディ 」や「 ロケット・マン 」でのヒーローは自分を愛し、名声と金に溺れてしまった…。
しかし、エルヴィスは自らがパフォームすること、パフォーマンスを喜ぶ観衆を愛した愛し抜いた。
だからこそ、古臭くてもエルヴィスの声は心に響き続けている。
まとめ
バズ・ラーマンが古典になってしまったモチーフを、現代に蘇らせる手腕は素晴らしい。
古典が内包する現代に変換できるファクターの考察と洗い出しは、至高とも言って過言ではない。