「 ウェルカム トゥ ダリ 」考察レビュー、あらすじ&キャストまとめ

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文・ライター:@ayahhi

世界を股にかける軽やかさと、人間の奥深くにある哀しさが彩る

偉大な芸術家の意外な側面にくぎ付けになる良作。

目次

ウェルカム トゥ ダリ

あらすじ

物語の舞台は1974年のニューヨーク。仕事で憧れのダリが宿泊していたホテルを訪れた青年ジェームズは、ダリと妻のガラに気に入られる。そして、ダリのアシスタントとして働くようになる。

原題

Daliland

公開日

2023年9月1日

上映時間

97分

予告編

キャスト

  • メアリー・ハロン(監督)
  • ベン・キングズレー
  • バルバラ・スコバ
  • クリストファー・ブライニー
  • ルパート・グレイブス
  • アレクサンダー・ベイヤー
  • アンドレア・ペジック
  • マーク・マッケンナ
  • スキ・ウォーターハウス
  • エズラ・ミラー

公式サイト

ウェルカム トゥ ダリ

作品評価

  • 映像
  • 脚本
  • キャスト
  • 音楽
  • リピート度
  • グロ度
  • 総合評価

考察レビュー

©️Daliland

人物の描き方が巧みです。

エキセントリックなイメージそのままの「 芸術家ダリ 」ではなく、知らざれるナイーブな一面や妻への一途な愛やジェラシーも登場し自然と魅了されます。

ダリのキャリアを多面的に支えた気性の荒い妻・ガラの存在感も光っており、目が離せません。

パーティーに明け暮れながらも、人間としての芯を失わない主人公・ジェームスや、ダリのお気に入りのトランス女性・アマンダの相手を包み込むような優しさにも惹かれました。

ダリ自身が若年期にメンタル面に困難を抱えている様子も描かれており、ガラがそのよき理解者「 =同じ種類の狂気を持っていた 」

という台詞も興味深く、むしろガラの映画でもあるようにさえ感じます。

ふたりの思い出の海岸でダリに「 自分を殺せ 」と迫る激しさを持つ彼女こそ、ひょっとしたらダリよりももっとアーティストとして突出した人物だったかもしれません。

見終わった後、思わず彼女の生い立ちを調べましたが、恵まれた環境をわざわざ投げうち、情熱にひた走った人生だったようで、映画で見た彼女のイメージが非常にしっくりきました。

実はガラ自身も芸術家を志しながらも、ダリを世に出すことに尽力するあまり、自分の成功は犠牲にしたという思い。

それが後々になって若い男性との不倫につながったという点に、人間の闇ややりきれなさ、いじらしさを感じます。

映画の舞台は70年代のNY、刺激的なパーティー三昧の日々というイメージが先行する本作。

当然、パーティーに明け暮れたクレイジーな芸術家・ダリも描きますが、むしろ「 ダリを演じる 」ことの滑稽さ、矛盾、儚さの方が圧倒的に力を入れて描かれていると感じます。

人間が、人間臭く、もがきながら生きている模様を描いています。

まとめ

歴史に作り上げられたイメージと現実のギャップに思いを馳せました。

先月公開の「エリザベート1878」にも通ずる、セレブカルチャーの被害者としてのダリの素顔を垣間見た気もします。

世間が知ることなんて現実のほんの一部だ、という教訓にも溢れていました。

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