操縦不能な子どもと、ぶつかりながらも優しく包み込んでいくジョニー。
無邪気さの裏に傷を隠し持つ天真爛漫なジェシーが愛おしくてたまらない傑作。
カモンカモン
公開日
2022年4月22日
原題
C’mon C’mon
上映時間
108分
キャスト
- マイク・ミルズ(監督)
- ホアキン・フェニックス
- ウッディ・ノーマン
- キャビー・ホフマン
予告編
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
なんといってもジョニーの「 おとな 」としてのスタンスと、ジェシーの「 こども 」としてのありのまま加減です。
ジョニーは都会で暮らす独身者。
ラジオジャーナリストをしていて、アメリカ中の子どもにインタビューをして回っているのに、それと生身の子どもと生活を共にすることは全く違う体験。
自由に、時にちょっと意地悪に感じるほどの奔放さで、ジョニーをはじめとした大人たちを惑わすジェシーから文字通り目が離せません。
「 なんで結婚してないの?」などという無邪気な問いには、どぎまぎしてしまいます。
本当に容赦がありません。
子どもを必要以上に美化していない点も好ましいと思います。
母親がいかに社会の犠牲になっているかにも触れていて、これまで「 子どもはかわいい、尊い 」という理想に隠れて、
辛いことや面倒ごとを一手に引き受けてきた「 母親 」のリアルを、男性であり父親でもあるマイク・ミルズ監督が前面に出したことは大きな意味があると感じました。
もちろん、子どもは可愛いけれど、育児というものは本当に「 闘い 」であり、根気や冷静さ、膨大な体力を必要とすることは、意外と映画界では描かれてこなかったのではないでしょうか。
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ジェシーの、天真爛漫に走り回っている姿から一転、自分も父のように精神を病むのではと怯える表情や、ジョニーとの別れで「 大丈夫じゃない!」と大きな声で叫ぶ様子は、
生意気そうでもやはり弱々しく、全力で守ってあげたいと思わせるものがありました。
大人も子どもも、弱みを隠さず互いを信頼しあい、肩を寄せ合えば良いのかもしれない。
まとめ
人は子どもがいる・いないに関係なく、子どもと真摯に向き合う必要が確実にあるなと感じさせる、見て教育される1本です。
子どもを育てるということは、上下関係や優劣などを取っ払って、ひとりの生身の人間として子ども向き合い、安心を築いていくこと。
そんな気付きをもたらす傑作です。