「 アネット 」考察レビュー
レオス・カラックス的な破天荒ロックオペラ。
好き嫌いが大きく左右するだろう濃厚作品。
カラックスの嗜好性とパラノイア。
スパークスの嗜好性とパラノイア。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
アネット
公開日
2022年4月1日
原題
Annette
上映時間
140分
キャスト
- レオス・カラックス(監督)
- アダム・ドライバー
- マリオン・コティヤール
- サイモン・ヘルバーク
- デビン・マクドウェル
- ラッセル・メイル
- ロン・メイル
- 古舘寛治
- 水原希子
- 福島リラ
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
レオス・カラックス監督作品は「 アレックス三部作 」なんて、思春期から大人になる課程で、描かれる社会風刺には諸々と影響された。
今作のもう1つの主軸のラッセル・メイル&ロン・メイル兄弟のスパークスも好んで聴いた洋楽だったりもする。
全アルバムは購入してないし、処分した物も多いけど数枚は保有。
今作のサントラ盤が新たに仲間入り。
思い返すとロック・オペラとかロック・ミュージカルって、とてもダークに、幻想的と言うか無責任的、無秩序的、無法的に社会風刺を投げかけてくる作品が多いように思える。
「 ロッキー・ホラー・ショー 」しかり、The Whoの「 トミー 」「 さらば青春の光 」しかり。
それこそQUEENの「 ボヘミアン・ラプソディ 」もなかなかに闇だらけの歌詞だったりする。
人気コメディアンと有名オペラ歌手のカップルの構図って、日本の芸能ゴシップでもオペラ=伝統芸能または一般芸能界と捉えれば同様の構図で、この構図は海外でも良くある構図なのだろうか?
悪く言う訳ではないけど、芸の上下で言えばコメディアンは下の方に位置づけられてしまってると思う。
そこで当該構図でゴシップが度々持ち上がるのがコメディアン=男の場合に思える。
コメディアン=女(コメディエンヌ)の反対構図だとゴシップがあまり発生しない。
要するに名誉や喝采の質量が異なる。
そこに社会的地位を欲する男は妻や恋人に対して、妬み嫉みの悪感情に溺れて堕ちていく。
この堕ちが今作ではダーク過ぎることになる。
打ち寄せる波が大きく小さく穏やかに荒れるように、彼等の感情を繰り返す楽曲に乗せて全てのシーンで唄に変換されていく。
そんな中で異質の放つベイビー・アネットの存在。
敢えて「 人形 」を用いて演出することで、押し込めた感情からの非無表情とぎこちない動きが、アネットの成長過程の出来事を息を潜め注視せずにはいられない切迫感に誘導される。
この描かれた大人の・・・支配者の・・・欲望に子供は、被支配者は、心を閉ざしつつも火は消さずに翻弄されていくしかない諸行無常を風刺した作品と言えるだろう。
まとめ
レオス・カラックス監督作品は淡々と描く物語の中にジワジワと浸食する猛毒が潜んでいる。
スパークスの音楽は多種多様な言語と数式を用いて描かれ、カレイドスコープを覗くようだ。