いつの時代も変わらない、現実を変えたいティーンエイジャーの反骨精神ガールズムービー。
児童文学ジャンルで、政略結婚から逃れたい主人公という、当時の現実を隠さずに描いているのがアグレッシブで良い。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
少女バーディ 大人への階段
あらすじ
公開日
2022年10月7日
原題
Catherine Called Birdy
上映時間
108分
キャスト
- レナ・ダナム(監督)
- ベラ・ラムジー
- レスリー・シャープ
- ソフィー・オコネドー
- ジョー・アルウィン
- アイシス・ヘインズワース
- ディーン=チャールズ・チャップマン
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
Amazonオリジナル作品は良作が多いし、コアな映画ファンに支持されているレナ・ダナム監督・脚本ということで期待した。
しかし、主人公が受動的過ぎて個人的には期待ハズレ。
結局、守られた中で文句を言っていたいんでしょってね。
14歳にして親の決めた相手と政略結婚しなければならない現実を阻止しようと、ありとあらゆる手を使うバーディ。
「 じゃあ、あなたは何がしたいの?」と問われれば、やりたいことも変えたいことも具体的にはなにひとつ出てこない。
それどころか、「 酷いヒゲモジャオヤジと結婚 」or「 寡婦と新しい世界へ旅立つ 」の選択肢を提示されても、今持っている日常を捨てたくないからという理由で「結婚」を選んでしまう。
散々、悩み、周囲を観察した結果、自分には大切なものがたくさんあり、その中で生きるかけがえのない日常の素晴らしさに気づいたといえば聞こえがいいが、
要は「 望まない結婚はしたくないけど、日常を捨ててまで変えるほどではない 」という妥協なのだ。
この時代の貴族女子がモノ扱いされ、トレードされていたのは事実だし、花嫁修業や家庭を支える以外何もするなという教育を受けているから、
初めからチャレンジ精神を摘まれてしまい、「 妥協 」に至るという男女差別の結果とも言えるのだけど。
今作は男性側の生きづらさもさりげなく描いていて好感がもてるし、悩める時間と選択肢のある貴族バーディと農民たちの現実を比較して見せているのもシニカルで良い。
しかし、さすがに当時のイギリス貴族が黒人女性と結婚というのは現代には即しているけれど、当時ではありえないからノイズだった。
それこそファンタジーになってしまう。
まとめ
何というか、まさしく中世に生きる、たわいない、けれど、かけがえのない日常をおくる少女の日記を盗み見ているような作品。
批評やレビューサイトではなかなかの高評価を得ているのは、そんなどこにでもいる“普通”なバーディが主人公だからこそ、ティーンエイジャーや、
かつてそうだった女子たちの共感を得られたのではないだろうか。