キアヌ・リーブスといえば、「 マトリックス 」や「 ジョン・ウィック 」のイメージが強くて、コメディ映画には、あまり馴染みがありませんよね。
しかし、30年前の無名時代に出演した「 ビルとテッド 」シリーズがブレイクしたことからも、キアヌの原点と言えるようです。
ある意味、素のキアヌが楽しめる今作ですが、前2作を見ていなくても大丈夫なのでしょうか?
この記事では、コメディ映画におけるキアヌの魅力と共に、そのあたりを考察します。
ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!
あらすじ
ビルとテッドの音楽が世界を救うと予言されてから、約30年後。かつての人気ロックバンドは年月と共に存在感を失い、今や2人を応援してくれるのは家族だけになっていた。そんなある日、未来からの使者が彼らの前に現れ、驚くべき事実を告げる。人類滅亡までに残された時間は、あと77分25秒。ビルとテッド、そして彼らの娘たちは、世界の消滅を防ぐことのできる「世界を救う音楽」を完成させようと過去や未来へと時空を駆けめぐり、史上最強のバンドを結成しようと奮闘する。
公開日
2020年12月18日
上映時間
91分
キャスト
- ディーン・パリソット(監督)
- キアヌ・リーブス
- アレックス・ウィンター
- サマラ・ウィービング
- ブリジット・ランディ=ペイン
予告編
考察・感想レビュー
好きだった点
テーマが「 音楽で人類の危機を救う 」なだけに、様々な音楽シーンのクオリティの高さが素晴らしかった。
プロローグでは、ビル(アレックス)とテッド(キアヌ)が、親族の集まる結婚披露宴で新曲を発表します。
その音楽の斬新さに、私自身かつて新郎新婦の入場シーンで「 バトルス 」をBGMに選んだことを思い出しました。
長髪を振りかざしながらテルミンを演奏し、バグパイプとトランペットを吹き鳴らすテッド。
トランペットは吹き真似でしたが、テルミンとバグパイプは、かなり吹き込んで練習しているなあと感心しました。
実際、音楽熱の上がったキアヌはバンド活動を再開したとか?
終盤での超豪華精鋭メンバーたちによる伝説のライブは、全世界、全人類、全時空が一体となって楽器を手に演奏します。
あまりにストレートな表現に、うっかり泣きそうになりました。
全世界がピンチである今のような状況だからこそ、人類の危機というシチュエーションでの大団結という画に、グッときたのでしょう。
演奏のコードがCメジャーなのも、良かったです。
まさに調和の象徴でもあるのですから。
嫌いだった点
気になったのはビルとテッドの命を狙って未来から送り込まれてきた暗殺ロボット。
はい。どこから見ても、フリーザ様(最終形態)でございました。
さすがにレーザービームは指先ではなくレーザー銃から発していましたが(笑)
実写版「 ドラゴンボール EVOLUTION 」を見たときのトラウマが蘇りそうになりましたよ。
見どころ
キアヌ・リーブスの七変化が楽しめます。ビルとテッドの息のあったギャグも可笑しいのですが、テッドが真顔でジョークを言っては両手を広げるポーズ。
大笑いはないですがジワジワ来ますよ。
未来の自分に会うために、電話ボックス型タイムマシンで2年後、5年後、10年後、臨終間際へタイムワープをしますが、未来のテッドはアルコール依存症のメタボ親父になっていたり、刑務所で筋肉隆々のモヒカン姿になっていたりと、クールなキアヌからは想像できない姿で登場します。
スポンジ・ボブの最新映画でも、キアヌ・リーブスが妖精役(?!)で出てきて仰け反りましたが、もともとコメディ好きなんだなと今作で納得しました。
テッドの娘ビリー役のブリジットも、立ち居振る舞いがテッドっぽかったですね。
ビルとテッドのそれぞれの娘が、かなりの音楽通。
父親たちを助けるべく奮闘する姿がとても懸命で、楽しそうなので見ている側も自然に笑顔になりました。
さて、今作は「 ビルとテッドの大冒険(1989年)」に始まる、シリーズ3部作の完結編となります。
前作「 ビルとテッドの地獄旅行(1991年)」から今作まで30年。
私自身は前作を知りませんでした。
その前提で今作を見る前に、全てを見ておいた方が良いかどうかを考えてみます。
結論から言いますと、ストーリー上の混乱もなく何も問題ありませんでした。
アレックスもインタビューで「(シリーズ続編でありながら)全く新しい作品 」と答えています。
ただし、妻たちとの出会い天才ベーシストを務める死神とのいざこざ、未来人の父親の存在などを仄めかすシーンがあるので、過去作を知っていると面白さは倍増するでしょう。
タイムトラベルによる時間軸の問題など、SF的なツッコミ要素は沢山あります。
本人役で登場したキッド・カディが専門的に解説するギャグがあったことでよしとしましょう。
本質はコメディですから。
まとめ
終始、笑顔で観られるハートウォーミングな今作。
コロナ渦により世界が困難な時代を迎えている今だからこそ見たい作品です。
きっと、全人類にいま必要とされている大事なメッセージを見つけられるでしょう。