「 燃ゆる女の肖像 」の映画情報・あらすじ・レビュー(映画史に残る愛の物語)

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繊細かつ丁寧に描かれる、柔らかい肌ざわりや息づかいに目を見張る。

意思と知性に溢れた2人の女性のラブストーリー。

目次

燃ゆる女の肖像

燃ゆる女の肖像
©燃ゆる女の肖像

あらすじ

18世紀のフランス。画家のマリアンヌは、伯爵夫人の依頼を受けブルターニュの孤島を訪れる。注文内容は娘エロイーズの縁談のための肖像画を描くこと。しかし結婚を望まぬエロイーズは描かれることを拒み続けていた。そこでマリアンヌは、画家であることを隠してエロイーズに近づき、秘密裏に肖像画を完成させようとする。

公開日

2020年12月4日

原題

Portrait de la jeune fille en feu

上映時間

119

キャスト

  • セリーヌ・シアマ(監督)
  • ノエミ・メルラン
  • アデル・エネル
  • ルアナ・バイラミ
  • ヴァレリア・ゴリノ

予告編

考察・感想レビュー

燃ゆる女の肖像
©燃ゆる女の肖像

好きだった点

画家のマリアンヌと結婚を拒否する貴族の娘・エロイーズの心理的距離がだんだんと近づいていく様子や、

それに伴う微妙な表情の変化など、とても丁寧に繊細に描かれていて、深い愛情と共にこの作品が作られていることが伝わってきます。

2人の女優の演技も素晴らしく、時に胸が締め付けられ、 時にうっとりと見惚れました。

セリーヌ・シアマ監督とエロイーズ役のアデル・エネルは元パートナー。

関係は解消しているものの、監督が彼女の良さを存分に発揮させていてその結果、世界から賞賛の嵐を受けているというのは、なんとも好感の持てるストーリーだなと感じます。

嫌いだった点

顔も見たこともない相手と無理やり結婚させられるという貴族の娘の宿命は残酷だなと感じました。

それゆえ、エロイーズの姉は自ら命を絶ってしまうくらいですから、きっと「 そういうものだから 」では割り切れないところがあったのだろうと思います。

まず、作品自体に嫌いなところは見つかりません。

予告編にも出てくるように、女優シャーリーズ・セロンは

「 この映画を、とても愛しています。4回見ました。」

と語っているように美しく、脆く、けれどたくましさを併せ持つ、主人公の女性2人の魅力が余すことなく発揮されている作品です。

見どころ

18世紀末、フランスのブルターニュの孤島に流れ着いた画家であるマリアンヌが結婚を拒否する貴族の娘・エロイーズのお見合い肖像画を描く。

「 画家 」という立場からつぶさに観察しながら、その美しさに惹かれていくという描き方は官能的。

ブルターニュの荒々しい海や、暗闇でともす炎に浮かび上がる表情など、片時も集中力をなくさないほど映像が美しいです。

家政婦の少女(ソフィー)が堕胎するシーンがありますが、村の老女がひっそりと自宅で行うその施術中、傍らには産まれたばかりの赤ちゃんと小さな少女がいます。

施術による痛みや、気持ちがこみあげて泣いているソフィーの涙を、赤ちゃんが拭いてあげるのです。

これはとても不思議なシーンでした。

ソフィーが幻を見ているのか?

とも思いましたが、この赤ちゃんが悲しく辛いシーンの中でも救いをもたらしていて、このさき彼女に幸せが訪れることを予言しているようだなとも思いました。

辛くてその模様から目を背けたマリアンヌに、エロイーズが「 しっかり見るのです 」と言い、その後、マリアンヌがこの模様を絵にしたシーンはなんとも意外な展開でした。

知らない相手と結婚させられ、自分の人生の選択権がないことなど、女性の社会的地位が低いことへの悲しみを、怒りと共に社会に訴えようとするマリアンヌとエロイーズの思いがあったのかもしれません。

まとめ

燃ゆる女の肖像
©燃ゆる女の肖像

劇中で効果的に流れる印象的な音楽は、本作のために作られたオリジナル。

神秘的で官能的なその旋律が、この作品を良く表していると思いました。

体の底からゾワゾワと何かが浮かび上がってくるような、不思議で魅力的な音楽です。

最初から結ばれることがないと分かっている2人。

限られた時間の中で互いを愛おしむ姿は切なくも美しく、限られた自由のなかでも意思と前向きさをもっていて尊いものでした。

すでに多方面で絶賛されている本作ですが、 その繊細さ、美しさをぜひ劇場のスクリーンで体験してほしい1本です。

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