「 アメリカン・ユートピア 」移民だからこそ成し得ることがある
映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム@ayahhiさんからの投稿レビューです。
満員続出の必見音楽エンターテイメントにして教育的要素に満ちた知的冒険。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
アメリカン・ユートピア
公開日
2021年5月28日
原題
David Byrne’s American Utopia
上映時間
107分
キャスト
- スパイク・リー(監督)
- デヴィッド・バーン
予告編
公式サイト
作品評価
[rate title=”5つ星”]
[value 5]映像[/value]
[value 5]脚本[/value]
[value 5]キャスト[/value]
[value 5]音楽(BGM)[/value]
[value 4]リピート度[/value]
[value 1]グロ度[/value]
[value 5 end]総合評価[/value]
[/rate]
アメリカン・ユートピア
好きだった点
シンプルな舞台、シンプルな衣装で、人間の持っている真の力をまっすぐに表現している点に潔さと質の高さを感じます。
裸足でステージを縦横無尽に歩き、踊る出演者たちはケーブルを一切使っていません。
つまり、電気的な出力はゼロということ。
地声や生楽器そのもので勝負しているので、人間にとって大事なもの、人間が持っている本来のパワーに圧倒され頼もしい限りでした。
嫌いだった点
嫌いというわけではありませんが、残念だったことがあります。
デヴィッド・バーン氏がステージメンバーに選んだのは、アメリカだけでなく
フランスやブラジルなどの多国籍なチームなのですが
そこに残念ながらアジア系のメンバーはいないのです。
Black Lives Matter運動もあり、黒人が何らかの選別から漏れることについては少なくとも問題意識として多くの人に認識されていると感じます。
しかし、アジア系はやはりまだまだその問題意識が浸透しておらず、そこに危機感を持つのは当事者に過ぎないのかなと心細く感じました。
白人 / 黒人のみで世界の物語が進んでしまうということは寂しいこと。
そういうことを私たちが声を上げて変えていかなくてはいけない。
人口も多いのですから、少なくとも多様性を謳うのであればせめてアフリカ系とアジア系はひとりでも入れておいて欲しいと感じました。
見どころ
自身もスコットランドからの移民であるデヴィッド・バーンが、アメリカで成功し多様性の中に更なる深みと高みを見出しているのは非常に意義あることです。
移民だからこそ成し得ることがある。
そういう力こそが、ニューヨークという都市の真髄だと思います。
決して簡単なことではないですが、出自にかかわりなく、自身の力で成功を掴み取ることができる。
そういう社会こそがヘルシーであり、本来の人間らしさを大事にできるのだと感じました。
考察レビュー
緊急事態宣言により閉館せざるを得なかった映画館が待ちに待った再開をした途端、公開延期となっていた今作は満員続出となっていました。
デヴィッド・バーン氏がかつて活動していた「 トーキング・ヘッズ 」は、一部の音楽ファンには絶大な支持を誇るとは思いますが、
ここまで満員が続くというのは、単なる彼のファンというだけではなく、恐らくはリピーターや口コミで広まったのでしょう。
台詞は抽象的で文学的なので、一般受けはあまりしない作品と思われます。
しかし、人間として伸び伸びと生き、自分を愛し他者や世界を愛する。
おかしいことを改革してこうという大まかな流れを感じます。
そんな教育的要素が散りばめられています。
多様性を謳いながらも、アジア系の出演者のいないこの舞台を見たニューヨーク在住のアジア系はどんな反応をするのだろう?
と気になりました。
まとめ
舞台芸術に飢えている今、こうしたシンプルな舞台の力に触れることはとてつもない感動とみなぎるパワーを授けてくれます。
コロナ禍がひと段落し、再び舞台が活気を取り戻しつつあるニューヨーク・ブロードウェイから一足早くそれを受け取り、
日本の私たちも元気を出してやっていこうと思える1本でした。