
「 尊厳死 」がテーマでありながら、死と向き合い対話することで「 生 」と向き合う大切さを強く感じる良作。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
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すべてうまくいきますように


あらすじ
公開日
2023年2月3日
原題
Tout s’est bien passe
上映時間
113分
キャスト
- フランソワ・オゾン(監督)
- ソフィー・マルソー
- アンドレ・デュソリエ
- ジェラルディーヌ・ペラス
- シャーロット・ランプリング
- エリック・カラヴァカ
- ハンナ・シグラ
- グレゴリー・ガドゥボワ
- ジャック・ノロ
- ジュディット・マーレ
- ダニエル・メズギッシュ
- ナタリー・リシャール
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
重い題材ながらも、まったくもって悲劇にならないところは素晴らしいと思います。
むしろ、ユーモアや軽やかさを感じるのは、やはり国民性が違うからでしょうか。
「 年老い、病んで体の自由を失った父 」に対する家族の戸惑いと決断。
もしこれが日本であれば、わかりやすくお涙頂戴ストーリーになったり、あるいはただただ陰鬱になりそうなものですが、父自身の問題のある人間性と、
それに伴う複雑な感情もリアルですし、別居中の母は父を愛しながらも心を閉ざし、顔も見たくない状況。
そこにバイセクシュアルである父の暴力的な恋人の男性も絡んでくるという、人間関係の描き方は否応なしに引き込まれます。
いかにもドラマ仕立てな演出と思いきや、作家のエマニュエル・ベルンエイムが「 父の安楽死 」に奔走した体験を綴った作品をもとにしているそう。
これが実話ベースということにまず驚きです。
まったく人生は小説より奇なり、というやつです。
主人公のエマニュエル演じるソフィー・マルソーの魅力も大きいです。
中高年でありながら若々しく、表情豊かで、アクティブでアグレッシブ。
こんな大人の女性がいるフランスという国は、やはり成熟した魅力的な国と言わざるを得ないでしょう。
まとめ
多様な価値観や生き方が大前提になっていると感じました。
シングルマザーや子どもを持たないパートナーシップがごく自然に登場します。
もしこれが日本であれば
「 離婚による心の傷 / 寂しい思いをする子ども 」
「子どもがいないことの後ろめたさ / 寂しさ」
のようになってしまいがちだと思います。
フランス映画といえば白人だけが出てきそうですが、本作にはアフリカ系やアジア系の人物もどんどん出てきます。
加えて、警察で上位のポストについているのが女性で、部下が男性であることも、普通のこととして描いています。
これらの描写には好感を持ちました。
「 自分らしく生きる / 死ぬ 」という選択・判断・決断を自分でするということは、大切だなと感じる、心に残る1本です。