貧しい暮らしの中で少年サマイが熱中する「 映画 」という希望。
映画を織り成す物理的な「 光 」が、まさに少年の行く末を優しく照らす感動作。
エンドロールのつづき
あらすじ
公開日
2023年1月20日
原題
Last Film Show
上映時間
112分
キャスト
- パン・ナリン(監督)
- バビン・ラバリ
- リチャー・ミーナー
- バベーシュ・シュリマリ
- ディペン・ラバル
- ビーカス・バータ
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
世界中の映画祭で輝かしい実績を持つインド出身のパン・ナリン氏が監督をメガホンを取る。
監督自身の故郷でロケを行った作品だと知り、より作品の輝きが増したように感じました。
困難な状況でも希望を失わない、サマイの輝く表情が、本当にかわいらしく魅力的です。
サマイをとりまく幼い仲間たちの、いたずらぶりや危なっかしさも愛おしいです。
サマイに夢のきっかけを与えてくれる映画技師や、厳しい中に温かい愛情を持つ両親など、分かりやすい言葉こそないけれど、「 心が通じ合う 」ということを真摯に実践している映画なので、見終わった後、自分が浄化されたように感じました。
列車の停車駅でチャイを売り生計をたてるサマイの家族。
その暮らしは常にギリギリなうえ、店の立ち退きまで要求される始末。
つまり、現実的な希望は非常に乏しい状態です。
しかしその中でも、少年は大自然(時にはライオンまで!)と戯れ、そのみずみずしく伸びしろに溢れた感性を開花させていきます。
その大きな助けになったのは、母親が丹精込めて作る料理だったのではないでしょうか。
決して豪華さはないけれど、素朴で、真心がこもっています。
微笑みながら作られる食事は、体にも心にも良い作用をもたらすのだろうなと思いました。
料理シーンは、この映画の中でも大きな魅力の1つです。
その食事を利用し、映画技師のおじさんに気に入られることで、サマイは映画監督へのスタートを切ります。
やはり、愛情に包まれた事柄は、なんらか不思議なパワーをもち、その人の行くべき道へと導くのでしょう。
好感をもったのが、サマイの「 時間 」という名前の意味です。
サマイを授かったとき、仕事もお金もなかったけど、時間だけはあったから。
というのが、なんとも豊かで懐が深いではありませんか。
まとめ
ファンタジーのように清らかなストーリーが、実在する監督の自伝だというのは希望のある話だと思います。
サマイのようにワクワク、キラキラした表情を大事にしたいです。