70年代のパリでエレクトロミュージックに対峙する女性。
音楽への真剣さに共感し、見惚れる眼福ムービー。
ショック・ドゥ・フューチャー
あらすじ
1978年、パリ。シンセサイザー付きの部屋を借りて曲作りに励む若手ミュージシャンのアナ。しかし依頼されていた曲が全く作れずにいた。そんな時、新たな電子楽器が誕生し、彼女は魅了されていく。
公開日
2021年8月27日
原題
Le choc du futur
上映時間
78分
キャスト
- マーク・コリン(監督)
- アルマ・ホドロフスキー
- フィリップ・ルボ
予告編
考察・感想レビュー
好きだった点
主人公のアナがとにかく魅力的。
ほとんど化粧をしていないナチュラルで美しい表情は、男女問わず魅了されることでしょう。
そんな彼女が、ひたむきに音楽を作っているシーンは、アンマッチかと思いきやとてもハマっており、一見の価値あるシーンとなっています。
嫌いだった点
冒頭のシーンで、アナがTシャツだけを着た下着姿でストレッチをするシーン。
そんなに下着をバッチリ見せる必要はあるか?と違和感がありました。
なんだか変にそこだけ性的な感じがして、サービスシーンのような印象を受けました。
本作はルックスのいい女の子が、そのルックスゆえに誤解されたり、時に軽んじられたりと。
自身の情熱と才能を信じて道を切り拓いていく物語なので、客寄せパンダ的な性的な描き方は違うのではと感じました。
本作は実在する女性作曲家たちに、オマージュを捧げた作品となっています。
こうしたエレクトロミュージックの世界に、女性作曲家がいたことを意外に思いました。
音楽や音楽シーンというのも、やはり、男性優位社会であることは間違いなく、しかも70年代といったら今よりも遥かにその傾向は強かったことでしょう。
その中で、実力がありながらも、女性ゆえにシーンのメインにはなれなかった人たちがいたのだと感じ、なんとも切ない気持ちになりました。
しかし、こうして埋もれていた功績に光を当てるというのは、映画の持つ大きな力の1つだと感じます。
同日公開の、1969年の黒人音楽フェスのドキュメンタリー「 サマー・オブ・ソウル 」もそうですが、
世の中にはこうした埋もれていた素晴らしい作品が多く存在し、そこに何とかして光を当てようとする人がいるのだなと感慨深く思いました。
まとめ
可愛いのに機械好きのような「 萌え 」としての表面的な「画」で終わらず、
アナ自身が、内側に秘めている音楽へのたぎるような情熱や好奇心。
それらを描いているのが魅力のオススメの1本です。