集英社の週刊少年ジャンプで連載された、車田正美のコミック「 聖闘士星矢 」の実写版ハリウッド映画。
面白く、発展する要素は多分にあるものの、ハリウッド映画で日本国の漫画やアニメの実写化における文化的差異がハードルだと示している。
作品演出の取捨選択によって楽しめ、希望的続編の期待もできる。
反して、全体総まとめで論じれば駄作扱いされるだろう。
違和感を分割できれば本作は楽しめる。
聖闘士星矢 The Beginning

あらすじ
原題
Knights of the Zodiac
公開日
2023年4月28日
上映時間
114分
キャスト
- 新田真剣佑
- ファムケ・ヤンセン
- マディソン・アイズマン
- ディエゴ・ティノコ
- マーク・ダカスコス
- ニック・スタール
- ショーン・ビーン
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー

思い返せば、車田正美の作品は「 リングにかけろ 」「 聖闘士星矢 」と毎週、少年ジャンプで読んでいた。
「 SLAM DUNK 」と同様に、アニメはそんなに触れてない。
ただ、少年ジャンプのハリウッド実写化は、ほぼ不評 or 駄作に終わっている。
本作は如何に?
設定を現代と欧米に置き換えたコンセプトは悪くない。
そもそも、ギリシャ神話に基づく神々や聖闘士が、日本人だけが登場する原作を違和感だと認識するべきである。
では、本作で感じた違和感。
それは欧米人が精神の圧縮から発揮する「 気 」的な概念に対しての認識ができてない点。
欧米人の精神は「 気 」を高めるのではなく、「 信仰 」を高める思想だからだ。
ゆえに「 聖闘士星矢 」のコスモ(小宇宙)を燃やす設定が、「 STAR WARS 」のフォースと同じ扱いになっている。
修行での絶海の孤島的なシチュエーションも「 STAR WARS EP8〜9 」のレイの修行に類似した演出。
さらに「聖闘士星矢」→ 日本作品 → アジア作品の指向性なのか、敵対する暗黒聖闘士≒忍者。
聖闘士の技の練りが功夫(クンフー)的な中国武術を取り入れてる。
この時点で多くの日本人は駄作認定してしまうだろう。
実質、スタッフのアクション・コレオグラファーはMCUの「 シャンチー 」でもアクションを担当したアンディー・チャンで中国系である。
「 シャンチー 」では、直線運動と円運動の差異と融合を上手に描けたが、本作では歪な演出に思えた。
なぜなら「 聖闘士星矢 」は車田正美の前作「 リングにかけろ 」のボクシング的な演出が強く、直線運動で描かれている。
そんな中で、主演の星矢を演じる新田真剣佑の自己演出と体幹的な演技は本作の骨頂と言えるだろう。
それ故に、多分に勿体ない感が強い。
少なくともハリウッド版の「 北斗の拳 」や「 ドラゴンボール 」よりは秀作だと思う。
まとめ

ハリウッドと日本の作品思想と力関係、アメリカ人が考える日本の国民、ビジネス、精神の認識は未だに低く扱われてることにも要因してると感じる。
ただ、青銅聖闘士達が揃い、星矢が射手座の黄金聖衣を纏う教皇との決戦を観たいと切に願う。