パッケージを見るとB級ゾンビ映画感満載ですが、作品自体はシリアスな雰囲気で物語が進みます。
想像しているゾンビ映画とかなり違うタイプの作品を見ることになると思います。
ブラッド・ブレイド
あらすじ
謎のウイルスが大流行。感染者は生ける屍と化して人間を襲い、世界は滅亡の危機に瀕していた。奇跡的に免疫を持つ一部の人間だけが、リーダーのトレイラーを中心にレッド・クローと呼ばれる居留地で生き延びていた。ある日、3人の生存者が助けを求めて逃げ込んでくるが、反対する息子ライソールの意見を無視してトレイラーは彼らを迎え入れてしまう。この決断が集落を地獄に変え、生き残りをかけた壮絶な戦いの幕が開く。
公開日
2020年12月4日
原題
Blood Quantum
上映時間
98分
キャスト
- ジェフ・バーナビー(監督)
- マイケル・グレイアイズ
- フォレスト・グッドラック
- エル=マイヤ・テイルフェザーズ
予告編
考察・感想レビュー
好きだった点
ポスターの感じから、かなりB級映画なのだろうなと思いながら映画を見始めました。
どんなゾンビが登場するのかと思いきや、かなり社会的テーマが強い作品でした。
ストーリーもシリアスで、ゾンビよりも「 先住民と白人 」差別がテーマとして描かれています。
ゾンビに安っぽさはなく、死んだ人間が本当に蘇ったようなリアルさを感じました。
ゾンビ好きのためにグロテスクシーンも用意されており、ゾンビが人間に襲いかかるシーン、人間がゾンビを倒すシーンなど、他のゾンビ映画に引けを取らないほどの演出。
一瞬ゾンビ映画を見ているのを忘れるほどでした。
今まで多くのゾンビ映画を見てきましたが、これほど映像に重みを感じた作品は初めてでした。
嫌いだった点
ゾンビ好きにとっては、「 ゾンビ vs 人間 」を期待してしまうでしょう。
しかし、それほどゾンビを倒す描写はありません。
差別をテーマとしストーリーが進むので、ゾンビ映画の疾走感を期待している人にとって、少し期待外れかもしれません。
見どころ
他のゾンビ映画にはない重めの雰囲気が見どころ。
チープさは全くなく、冒頭からラストまで重い空気です。
ゾンビ映画によくある「 人間対人間 」の構造も描かれるのですが、それが縄張り争いというよりは「 よそ者 」差別がテーマ。
そのテーマと映像の重さが重なり、とても深い作品となっています。
ただし、物語の描かれ方が人を選ぶ作品にもなっているのかもしれません。
「 ゾンビ映画は遂にここまできたか 」と。
斬新なゾンビ映画なのかもしれません。
先住民は白人によって追い詰められましたが、本作では先住民コミュニティの白人がマイノリティになっています。
差別をテーマにした本作を製作した意味は、現代の分断を描いているのだと思います。
社会の中ではマイノリティとされている先住民ですが、本作は先住民視点で描かれているので、彼らの白人に対するリアルな感情を知ることができます。
まとめ
ポスターやパッケージから想像する映画とは全く違う「ブラッド・ブレイド」
本作で描かれるゾンビはあくまで脇役で、ゾンビの世界で生きる人間たちの差別意識が重要なテーマなのです。