時は第二次世界大戦下。
ユダヤ人の男が生き残るためにペルシャ人と嘘を吐き、ナチス軍の大尉に「 架空のペルシャ語 」を教えることになると。
あらすじの時点で掴みはバッチリ。
架空の言語ってなんだ!
そんなの面白くないはずがない!と、観る前からすでに確信を抱いていました。
そんな予感を裏付けるように、ベルリン国際映画祭をはじめとする数々の映画賞を受賞している本作。
単なる戦争モノとして括ることのできない、映画としての面白さがありました。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
ペルシャン・レッスン 戦場の教
あらすじ
公開日
2022年11月11日
原題
Persian Lessons
上映時間
129分
キャスト
- バディム・パールマン(監督)
- ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート
- ラース・アイディンガー
- レオニー・ベネシュ他
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
ここ数年で最も刺激的な映画体験でした。
129分があっという間。
淡々と架空のペルシャ語を教えていく様子は、絵としては地味なのですが、綱渡りをさせられるような緊張感があり、物語がグイグイと展開し進行していきます。
重用される主人公ジルに疑いの目を向け続ける兵長の存在も、ジルが生き残れるのかという緊張感にメリハリを生む役割を果たしています。
そうしたヒリヒリとした緊張感によって、嫌でものめり込まされるので、観終わった頃には「イル・オナイ・アウ」と架空のペルシャ語を喋れるような気分にさえなれると思います。
何よりも圧倒的だったラストシーン。
ネタバレしない程度に触れますが、ジルは意味を持たない架空の言語を作り上げていくわけですが、その架空のペルシャ語は最後に大きな意味を持つことになります。
墓標として、感謝と敬意として、あるいは罪の重さとして。
そしてなにより生きた証として。
怒鳴られようと、殴られようと、肉体的・精神的にどれだけ追い込まれようと、決して感情を露わにしなかったジルが、ボロボロと剥がれ落ちるように涙を流すシーンは、今こうして思い返しただけでも熱いものが込み上げてしまいます。
129分の全てが結末に向けてピタリと収束していく素晴らしい完成度。
魂が震えるようなこの感動を味わって欲しい。
まとめ
残念なことにこの原稿を書いている現時点(11/24時点)では上映館が少なく、多くの方が鑑賞するための環境が整っているとは言い難い今作。
ですが、間違いなく傑作です。
筆者はこの映画が1人でも多くの映画ファンの元に届くことを願います。