切迫した政治状況や人間模様をハラハラと見つめる、
現地で上映禁止となった、強い感情移入をもたらす香港のリアル。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
少年たちの時代革命
あらすじ
公開日
2022年12月10日
上映時間
86分
キャスト
- レックス・レン(監督)
- エキストラ他
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
民主化デモが激化していた2019年。
政府への抗議の自殺が相次ぐ香港で、自殺志願者を救うために結成された民間捜索隊の姿を描いた本作。
東京都内で唯一上映していた「 ポレポレ東中野 」という社会派の作品を多く扱う映画館では、上映後にトークイベントがありました。
2000年代~の香港に詳しく、東京外国語大学で教鞭をとる倉田教授が、作品内で盛んに登場するSNS「 TG 」を間近で見るなど
その温度感を感じてきたひとりとして、香港のリアルを解説してくれました。
本当に映画で描かれていたように、自殺しそうな人の情報を得ては縁もゆかりもない人が団結して「 仲間 」を救おうとする活動が多く見られたそうです。
また、家庭内など既存のコミュニティの中では、政府寄り / 反政府といった分断が進む一方で、もともと住む地域でバッサリと分断されている香港市民が、
民主化運動によって、これまで関わらなかった人たちと連帯していくという動きも確かにあったとのこと。
その事実に熱いものを感じますし、救いがないように見える香港のニュースに希望がさしたように感じました。
自由で民主的な香港を守るという大義のもと、大学受験に失敗し、エリートの恋人にコンプレックスを抱く人。
自殺しようとする人を執拗に助けようとする恋人に嫉妬心を抱く人。
助けようという気持ちを下心だと決めつけ、仲間を信頼できなくなる人。
さまざまな背景がさまざまな思惑になり、仲間割れしてしまう様は、やはり人間同士が熱い気持ちでぶつかり合うからこそなのでしょう。
いまは政府にほぼ完全に押さえつけられ、民主化運動ができない香港。
しかし、その内なる炎は燃え続け、諦めずに灯し続けられると感じます。
まとめ
国が民衆を押さえつけようとするとき、どんなことが起こるか。
その中で、勇気と、意思と、知恵と、仲間をどう大切に保っていくか。
これはもう永遠の課題なのかもしれません。
まさに今、そう遠くない国で起きていることとして、ずしんと重く残る作品です。