視る側と視られる側の暴力的な葛藤表現。
多岐多様な観点で描かれてる故に、映画好きには高評価を得ている。
鑑賞者が何処に視点と論点を配置するのか?
その結果と総合性は、古代からの神話に帰結する。
NOPE /ノープ
あらすじ
物語の舞台は田舎町の牧場。突如空から異物が降り注ぎ父が絶命。現場にいた長男は、謎の未確認飛行物体を目撃していた。妹と共に動画撮影を試みた彼は、想像を絶する事態に見舞われることに。
公開日
2022年8月26日
原題
Nope
上映時間
131分
キャスト
- ジョーダン・ピール (監督)
- ダニエル・カルーヤ
- キキ・パーマー
- ブランドン・ペレア
- マイケル・ウィンコット
- スティーブン・ユァン
- キース・デビッド
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
今作は劇場予告からも謎めいていた。
強いて言えば「 視ては行けない 」ということのみ。
公開直前の予告で、多くが想定していたUFO(未確認飛行物体:unidentified flying object)と認識しただろう。
しかし、流石はジョーダン・ピール監督。
一筋縄ではいかない作品に仕上げている。
そもそも、自身の得意とするオカルト・ホラー的な表現手法。
人種差別や格差における歪みの波動。
それらが膨れ上がった時に、暴走する事象や感情の発露を描くことで「 NOPE!」とも言える状況に追い込まれていく。
ちなみに発音は「 ノープ 」と言うよりも「 ノップ!」と強く拒否する時に使う言葉だったはずなので、日本語タイトルは少々、のんびりと言うか…。
テーマ性をボヤかしてしまっていると感じている。
主旨は絶対的な拒絶を表現しているのだから。
「 存在 」が視られていることや、視ていることによるストレスを強く表している。
視られ暴れる動物。
直視する者。
視ない者。
視られたく無い者。
視られたい者。
視続けたい者。
視線が合うと奪いにくるなにか…。
世界で初めて撮影された動画は10数台のカメラを並べ、馬(騎手は黒人)を走らせた動画だった。
その後、エジソンが映写機を発明する。
その後の21世紀初頭まで、承認欲求過多に陥る人種は画面の中にに映される人々だった。
21世紀も四半世紀近く経過すると情報通信が発展し、地球上の至る所に生存する人類の大半が、過度な承認欲求を満たそうと励んでいる。
それは視られ事だけでなく、視続け貪欲に、満足すること無く、足掻き貪り争っている。
その姿こそが「 NOPE!!」だ。
ジョーダン・ピール監督による時代への警鐘と理解してもいい作品であると言える。
雲の中に姿を潜める存在の容姿は、未開未知の海を渡る者たちを恐れさせたクラーケン(巨大蛸)にも似て…
天空から現れ、神の正義と愛を実行する為に、断罪の剣を振るう翼を広げガウンを翻す天使のようでもあり…
魅とれた者を天空に連れ去る天の羽衣のようでもあり…
ミステリーゾーンへ誘う別次元の扉の様な存在を啓示している。
貴方が視る未知なるモノを脳内認識する心象風景は、どんな姿容をしているのだろうか?
まとめ
2021年からアメリカ政府は、UFO(未確認飛行物体:unidentified flying object)の呼称を改めた。
UAP(未確認空中現象:Unidentified Aerial Phenomena)と呼称した。