タイトル通り、後半30分くらいで号泣必須の展開へと転がっていきまして、泣くだろうと覚悟をしていたにもかかわらず、泣けて泣けてしかたなかったです。
お互いに孤独を埋めあうことで、一緒に生きてきた2人の愛情をこの記事で掘り下げていきたいと思います
悲しみより、もっと悲しい物語
あらすじ
クォン・サンウ主演の韓国映画「悲しみよりもっと悲しい物語」をリメイクし、台湾で大ヒットを記録したラブストーリー。高校時代に運命的な出会いを果たした、音楽プロデューサーのKと作詞家のクリーム。それぞれ家族を失い、身寄りのなくなった2人は一緒に生活するようになり、互いに恋心を抱く。しかし、白血病を抱え、病状が悪化しはじめていたKは、クリームに気持ちを伝えずにいた。余命わずかのKは、自分がいなくなってもクリームが幸せに生きていけるよう、別の男性に彼女を託す。クリームの結婚を見届け、Kの目的は果たされたかのように思えたが……。
公開日
2020年4月3日
上映時間
106分
キャスト
- ギャビン・リン(監督)
- リウ・イーハオ
- アイヴィー・チェン
予告編
感想レビュー
好きだった点
とにかく切なかった点。
予告編やポスター、そもそもタイトルから「 泣く映画 」だと思って覚悟しながら見に行ったのですが、それでも泣けてしまいます。
お互いへの愛があまりにも深く、胸が苦しくなるほどでした。
嫌いだった点
微妙だなと思ったのは、お互いへの愛が深すぎるゆえに周りを巻き込んでしまう点。
婚約までしていて、しかもその婚約に至るまでの紆余曲折も知っていながら、クリームのためにカップルを別れさせようとするKの行動は、映画の展開上仕方ないとは思いつつも身勝手に思えてならなかったです。
加えて、そのカップル2人が最後まで良い人なので、なおのことカップルが不憫でなりませんでした。
少し都合のいいように思えてしまう点が個人的には苦手だなと思いました。
見どころ
見どころは、台湾映画ならではの映像美、自然光の綺麗さに彩られたラブストーリーの切なさ。
お互いを思うあまり、自分の気持ちを伝えることができない2人が遠回りをしつつも、結局は離れることはできないという「 運命の相手 」すらも超えたような関係性に胸を打たれました。
一緒に映画を見たり毛布にくるまった彼女を慰めたり、冬にアイスを食べたりと印象的なシーンも多く、ストーリー以前に映像の美しさにも見惚れてしまいました。
考察・疑問点
家族を交通事故で亡くして天涯孤独になったクリームと、母親が自分から逃げ出したことで孤独になってしまったK。
お互いに家族と呼べる存在がいなくなってしまい、その孤独を持ち寄ることでお互いの孤独を埋め合わせていきます。
「 悲しみよりも悲しいことは、孤独に慣れてしまうことだ 」という言葉どおり、
お互いが孤独を解消してくれる唯一の存在だからこそ、そこには恋愛以上の家族愛のようなものが流れていました。
ただ好きなのではなくて、相手がいなければ自分は生きていけないという、ある意味究極の愛のようなものだったと思います。
最後、病気で亡くなってしまうKの隣で、クリームも自ら薬を飲んで自殺してしまいます。
一般的に言えばハッピーエンドではないのですが、その結末には悲しさだけしか存在しないかと言われると、少し違っているように思います。
2人の死に思いを馳せつつ、カメラマンの彼女は「 私はKに『 クリームはあなたが思ってるよりも強い 』と言ったけれど、
そんなに強くはなかった 」という趣旨のことを語ります。
2人に散々かき回されたカップルなので、その点は2人が不憫だなと思いました。
語る内容はまさにその通りで、この人しか私を幸せにはできないという運命にも似たものを感じていたからこそ、クリームは死を選んだのだと思います。
平易な言葉にはなってしまいますが「 2人の関係性はこういうものなのだ 」と自分たちの関係の特殊さを理解していたからこそ、
Kはかたくなに自分の気持ちを抑え続けたのだと思いますし、クリームはほとんど迷わずにKの元へと舞い戻っていったのだと思います。
最終的には両方が死んでしまうわけですから、悲しい物語にはなってしまいます。
しかし、クリームの書いた詞を信じるならば、2人はこの世界では永遠に一緒にいることは叶わなかったけれど、きっと来世では永遠が待ってくれているはずです。
そのように見ることができれば、今作は悲しい物語ではなく、出会いを運命と信じて疑わなかった芯の強い2人の物語へと変貌していくように思います。
孤独をお互いに埋め合わせることでしか生きていけなかった、そう捉えれば切なさばかりが残りますが、
愛を信じて来世に願いをかけた、そう捉えれば不思議と切なさばかりではないようにも思えます。
まとめ
もともとは韓国映画のリメイク版として公開された「 悲しみより、もっと悲しい物語 」
ですが、韓国版とはまた違った魅力を備えた「 号泣してしまう 」作品でした。
ひとりで思う存分泣くつもりで見に行っても良いと思うし、友達や恋人と行くのも良いと思います。
切ないけれど、2人の間に存在している愛の強さや深さに心を打たれる良い作品であるのは間違いないです。