「 マーティン・エデン 」考察レビュー、上流階級令嬢エレナと船乗りマーティンの出会い(一見の価値アリ)

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マーティン・エデン
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映画ライフ楽しんでますか?

今回は、ペンネーム(@タイラーシンヤ)さんからの投稿レビューです。

アメリカの代表的な作家、ジャック・ロンドンの自伝的小説を大胆にもイタリアに舞台を移して映画化。

主演はヴェネチア映画祭にて「 ジョーカー 」のホアキン・フェニックスを見事しりぞき、主演男優賞を獲得したルカ・マリネッリ。

また、イタリアのアカデミー賞といわれるダビッド・デ・ドナテッロ賞で脚色賞を受賞。

画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)

目次

マーティン・エデン

マーティン・エデン
©マーティン・エデン

公開日

2020年9月18日

原題

Martin Eden

上映時間

129分

キャスト

  • ルカ・マリネッリ
  • ジェシカ・クレッシー
  • ビンチェンツォ・ネモラート
  • マルコ・レオナルディ
  • デニーズ・サルディスコ
  • カルロ・チェッキ]ピエトロ・ラグーザ

予告編

公式サイト

マーティン・エデン

作品評価

[rate title=”5つ星”]

[value 5]映像[/value]

[value 4]脚本[/value]

[value 4]キャスト[/value]

[value 3]音楽(BGM)[/value]

[value 4]リピート度[/value]

[value 1]グロ度[/value]

[value 4 end]総合評価[/value]

[/rate]

感想レビュー

マーティン・エデン
©マーティン・エデン

ここ数年、格差社会をテーマにした作品が量産されていますね。

レバノンの「 存在のない子供たち 」や韓国の「 パラサイト 」、日本では「 万引き家族 」など、国によって背景が異なっているのも観客側にとっては多方面で学べる良い機会です。

作り手側にとっては、きっと昔も今も変わらない普遍的なテーマであり、ドラマを創作するに当たってこれ以上の題材はないのでは、と考えています。

原作者ジャック・ロンドンの実体験を基に描いた「 マーティン・エデン 」

ナポリの貧しい労働者地区に生まれた船乗りのマーティンと、上流階級の娘エレナの出会いからドラマは幕を開けます。

マーティン演じるルカ・マリネッリがこれまた非常に魅力的なんですよね。

外見は何というか、若き日のアラン・ドロンとジェラール・ドパリュデューを足して2で割ったような色気と、無骨さを絶妙なバランスで併せ持った風貌なのです。(分かりづらくてすいません)

芝居も前半は、学とは無縁で純粋無垢な彼が、この出会いをきっかけに全く縁の無かった文学の世界にのめり込んでいく様を繊細に演じています。

その後、富と名声を得てからの言動は一転して自分を取り巻く人々、状況に対して反骨精神剥き出しに感情を爆発させるわけですが、その振り幅の広い表現力が尋常ではありません。

かつて心から愛したエレナとの関係も完全に破綻、なんとマーティンの方から三行半を突きつけてしまいます。

まあ彼女の中の下心見え見えな人間性が発露されたシーンでもありましたね。

マーティンは、人が羨むほぼ全てのものを手中に収めましたが、その代償としてなのか人を愛する心を喪失してしまったのです。

しかし、ラストシーンで船乗りだった自身の幻影(?)を見ますが、これはマーティンの人生における新たな希望の第一歩であると感じました。

決して破滅的ではないそのエンディングにホッと胸を撫でおろしました。

好きだった点

スーパー16mmフィルムのやや古めかしくザラついた映像は、今のデジタルには無い古き良きイタリア映画らしい趣き全開でした

これだけでも一見の価値アリです。

ヴェネチアで主演男優賞をゲットしたのも頷ける、ルカ・マリネッリの時代性にフィットした確かな演技力。

個人的にはヴィスコンティ作品のヘルムート・バーガーを想起させもしました。

嫌いだった点

敢えて挙げるなら、男優陣に比べ女優陣の影が薄く地味な印象でした。

まとめ

マーティン・エデン
©マーティン・エデン

貧しく学の無い船乗りが作家として世界に名を馳せるまで、というのがこの作品の大まかなあらすじですが、まるで夢物語ですよね。

それが実体験に基づいたストーリーだったというところで、ノンフィクションはフィクション以上にドラマチックである、映画の新たな可能性を再認識させられました。

また、舞台をアメリカからイタリアに移して描くという大胆な発想にも驚かされました。

舞台をイタリアとすることで、更に味わい深いリアリティを生み出すことに成功したのだと解釈しています。

最後に、このような普遍的テーマを描いた重厚なイタリア映画を今の時代に鑑賞出来たことは、とても貴重な体験でした。

マーティン・エデン

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