「 EO イーオー 」ネタバレなし考察レビュー、サーカス団を離れたロバの物語
一匹のロバを通して、人間の愚かさとおかしさを描いた作品。
EO イーオー
あらすじ
サーカス団を離れたロバの、ポーランドからイタリアへ至る旅を描く。
原題
EO
公開日
2023年5月5日
上映時間
88分
予告編
キャスト
- イエジー・スコリモフスキ(監督)
- サンドラ・ジマルスカ
- ロレンツォ・ズルゾロ
- マテウシュ・コシチュキェビチ
- イザベル・ユペール
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
ロバの視点を通して映画が進んでいくので、セリフはほとんどなく淡々としているが、その中にある鬱屈としたものがEOのことを少しずつ苦しめていく。
過去に視聴した「 異端の鳥 」という作品にも似たようなものを感じた。
少しずつ災難や困難が降りかかってくるものの、辛いと感じた時にはもう取り返しのつかない事態になっている。
後戻りができない状況の中でも必死に生きる姿は、なかなかに心を抉るものがあった。
今作でもEOを取り巻く環境は変化していくが、大好きなサーカス団の女の子にもう一度会いたいという気持ちがEOのことを突き動かしていたように思える。
しかし、現実は難しくもう無理かもしれないと気づく頃には取り返しのつかない場所にいた。
ロバのEOの純粋な瞳に映るのは人間の醜さや愚かさであって、その先に被害に遭うのは動物たちだった。
言葉によるコミュニケーションが取れないから弱いものいじめみたいになり、傷つけられる。
動物が辛い思いをする作品ってこれがあるからどうしても苦手で、心臓が締め付けられた。
あの時こうなっていれば、これが起こっていなければ、が何回もあって、その度にEOの運命が変わって欲しいと願ってしまった。
私が今生きている世界以外にもこんな世界があるんだっていうことを、この映画が強く訴えかけているように思えた。
まとめ
終始辛い空気の作品だけど、EO役のロバが5匹いたことに衝撃を受け、全員にしっかり名前があった。
救いのない作品だけど、メイキングとかではスタッフなどに可愛がられていたのも想像できる。自然と動物に愛を込めて作られた作品なので、EOとともにいろんな景色を見ている気持ちになった。