「 カラミティ 」の映画情報・あらすじ・レビュー

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すべての人に見てほしい新時代のアニメ映画です。

西部開拓時代の初の女性ガンマン、マーサ・ジェーン・キャナリーの子供時代の物語。

馬車隊で西に向かう旅の途中で、マーサの父親が負傷します。

マーサは父親に代わり馬を率いることになりますが、同時に周囲からの性別による差別や偏見に立ち向かうことに。

目次

カラミティ

カラミティ
©カラミティ

公開日

2021年9月23日

原題

Calamity, une enfance de Martha Jane Cannary

上映時間 

82分

キャスト

  • レミ・シャイエ(監督)
  • サロメ・ブルバン
  • アレクサンドラ・ラミー
  • アレクシ・トマシアン

予告編

考察・感想レビュー

カラミティ
©カラミティ

抽象的な絵のはずなのに、まるで現実にアニメというフィルターを被せたかの様なリアルさ、美しいアニメーションに驚きました。

キャラクターの複雑な表情の変化や、自然の美しさに感動しました。

音楽、テーマ、ストーリー、娯楽性。

どれをとってもアニメ大国日本を揺るがす大傑作です。

女性のマーサは男勝りな性格ですが、家族思いな優しさもある魅力的なキャラクターです。

マーサは自分の心に正直だからこそ、男女格差が厳しい西部開拓社会では疫病神(カラミティ)と呼ばれます。

「 女性のくせに 」という視線を、あらゆる手段を使って跳ね除けていく彼女の姿に勇気をもらいました。

マーサがスカートを脱ぎ捨てて、ズボンを履く動機は面白いなと思いました。

それは男社会に馴染むための作戦でもなく、女性に生まれたくなかったわけでもないと思います。

マーサは当時の男性の「 生き方 」に魅力を感じていました。

そこに性別による偏見が加わり、立ち向かう為にズボンを履く決意をしたのかと。

西部開拓時代に「 自分らしい生き方 」を追求したマーサの冒険がその瞬間から始まります。

現代人の抱える生きづらさの問題をリアルに描きつつ、見事にエンターテインメントとして昇華された作品です。

レビュー ❷

主人公ジェーンの逆境に負けず、ひたむきに生き抜く姿にハラハラしながらも勇気をもらいます。

行く先々で災難にばかり遭い、周りにも迷惑をかけっぱなしのジェーン。

タイトルの「 カラミティ=疫病神 」というのはここからきています。

そんなことで彼女はしょげたり卑屈になることはせず、強い精神力と冒険心で結果的に皆に幸福をもたらすという展開は救いがあってよかったです。

自分と自分の家族を愛し、守ろうと必死に周囲にあらがう姿は健気でもあり、可哀想でしかたない場面もあり、自然と感情移入して応援する気持ちになります。

ただガマンになるのではなく、機転を利かせるスマートさや、ときに色気さえも自然に使い、自分の道を確固たるものにしたジェーンには心から拍手です。

ジェーンが「 女のくせに生意気だ 」と男の子数人にからかわれ髪を引っ張られ、泥まみれにさせられるシーンは胸が痛む辛い描写でした。

女だから大人しくしていなくてはいけない。

男に逆らってはいけない。

男より優れていてはいけない。

そんな圧力が、子どもたちにまで浸透すると思うとやりきれない思いになります。

世の中ではこうしたやりきれない事象が沢山起こっているのだろうなと、想像して辛くなります。

納得のいかなかったシーンとしては、ジェーンが旅団から盗みの濡れ衣を着せられた時、父親が彼女をかばわずに目をそむけたことが引っ掛かりました。

不器用でお荷物扱いされっぱなしの父親のことをジェーンはいつもかばい、尊敬してきたのにジーンズ姿を「 恥ずかしい 」と言い放ったり、

犯罪者扱いに抵抗しなかったりと、その態度はあんまりではないでしょうか。

手柄を得て帰ってきたらすんなりと親子に戻れるというのは、やや虫が良すぎると感じました。

この作品は、実在した米西部開拓時代の女性、マーサ・ジェーン・キャナリーという女性ガンマンの少女時代の冒険を描いたもの。

時代は数百年違えど、人間の中身は全く変わらないのだなとシミジミ感じました。

マーサをからかった男の子たちがそうであったように。

自分と違う属性の存在が、自分のカテゴリーの中に侵入してきたとき、心ない攻撃や意地悪な集団行動が起こります。

自分が攻撃されないための防御として、未知の存在に対する恐怖として起こってしまう悲劇。

キャナリー氏が受けた偏見や差別なども、恐らく見ていられないようなものであっただろうと想像します。

しかし、それに屈せず自分の生きたいように自分の意志で生きる女性像を、男性の比較的年配の男性が監督し描いていることに好感を持ちました。

ジェーンの旅団に現れた能力に優れリーダーシップあふれる金髪の少尉に憧れ、彼との結婚話に沸く女の子たちに対し、ジェーンは「 あんな風に生きてみたくはない?」と言い放ちます。

完全に自分が当事者となって人生を切り拓く意思を見せるジェーンは、女の子たちから総スカンを食らうわけで、同じ属性にいるものが味方とは限らないということもまた頷けます。

アニメではありますが、人間の汚い部分や温かい部分も丁寧に描写されていて目が離せず、大人こそ見るべき作品だと思いました。

まとめ

カラミティ
©カラミティ

今作は、特定の性別・年齢・国籍に関係なく感動できる作品。

なぜなら誰もが「 自分らしい生き方 」をしたいと考えているからです。

この先駆的なアニメーション映画がヒットすることを期待しています。

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Official Note

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